カナリア朗読劇場「手袋を買いに」3

今日は立春。現代の日本では国立天文台の観測によって「太陽黄経が315度になった瞬間が属する日」 を立春とするのだそうで、37年ぶりに2月3日が立春になりました。暦の上では春ですが、まだまだ寒くて手袋が欲しくなります。
「手袋を買いに」の完結編、その3をお届けします。物語はお母さんぎつねの問いかけの言葉で終わります。ところが作者の新実南吉は2種類の異なった結末を用意していたようです。新実南吉は「立場の違う者が互いにわかり合うことは出来るのか」をテーマにした作品をたくさん残しています。「手袋を買いに」や「ごんぎつね」はきつねと人を描いていますが、動物と人間との関係にとどまらず、人種や性別、年齢など、異なる外見や信条を持つ人間同士が理解しあえるのかという根源的な問いかけと見ることが出来るのではないか。そう考えると、百年近く前(1933年執筆)に書かれたこの作品には、昨年大きな広がりを見せたBLM運動をはじめとする今日的な問題が描かれています。この朗読が身近な人とそんな話をするきっかけになりますように。フリーアナウンサー塩見祐子さんの朗読、イラストレーターかしわぎまきこさんの絵でお楽しみください。その1はこちらから、その2はこちらからお聞きいただけます。


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