昨年の6月の記事で、資料館等での戦争展示(特に日本の加害に関する展示)が隠される動きについて書きました(資料館等での戦争展示:戦争に反対する声を消さない)。
今年もまた、同様の動きはあるようですが…。
こ、これは・・・・。酷すぎる。原爆の残酷さを伝えるのに政治性もくそもあるものか。 https://t.co/WuafLtTLOs
— 渡辺輝人 (@nabeteru1Q78) July 30, 2020
本日は、子どもたちが勉強のために日常的に使う教科書の話をします。各学校で使われる教科書採択の仕組みは、こちらの文科省のサイトに図入りで説明されています。
6月~8月にかけて、各地で教科書展示会や採択協議会が開催され、どの教科書を使用するかが決まります。なお、この一連の作業の前に国による「教科書検定」があります。教科書検定の仕組みを漫画にしたサイトがありましたので紹介しておきます。
さて、社会科のうち歴史と公民に関して、日本の戦争責任を否定・矮小化するとともに、憲法や憲法が定める民主主義の理念に否定的な主張をする教科書を、学校現場に導入しようとする動きがあります。ある程度古くからあり、例えば「新しい歴史教科書をつくる会」は平成9年に発足しています。様々な経緯があったようで、現在はいくつかの運動に分かれているようです。教科書検定に不合格だったものもありますが、合格してしまったものもあります。
教科書検定に合格しているものが「育鵬社」の歴史と公民の教科書です。これらの教科書の問題点を指摘しているサイトを紹介します。
横浜市の公立中学校
・社会科は全国でほとんど採択されていない育鵬社を連続8年
・昼食はMAX15分で食べなくてはいけない
・給食はないがハマ弁のために市民税負担そして、道徳の教科書も ふ あ んhttps://t.co/2fSsHpDCgz
— Miki (@natsumi902) May 11, 2018
政治的に保守かリベラルかという問題だけではなく、そもそもの「歴史の見方」があまりにも違っているという指摘は重要かと思います。
「公民」の教科書についてのこちらの指摘も重要でしょう。
【2020教科書採択(記事再録)】岡野八代さん「育鵬社版公民では国家のために役割を果たす生き方を学ぶことが、教科の目的のように読める。「あなたたちはそれぞれ価値があり、平等。自由に発言していい」と、子どもたちに語ることこそ公民という教科の役割ではないか」https://t.co/yFi0nZ4vTA
— 成田洋樹(神奈川新聞記者) (@narita_hiroki) July 30, 2020
また、こんな教科書で勉強していたのでは入試の時に困るという指摘もあります。憲法や歴史の標準的な見解が学べないのですから、当然と言えば当然です。
さて近年、採択が広まりつつあった育鵬社の教科書ですが、今年は各地から不採択が決まったという情報がありました。
速報。千葉市の中学校教科書は、歴史、公民ともに東京書籍となりました。
— すみや信一 (@sumiya1954888) July 31, 2020
藤沢市の教科書からも育鵬社なくなりました❗
— 弁護士 太田啓子 「これからの男の子たちへ」8/24販売(予約受付中)(大月書店) (@katepanda2) July 31, 2020
【速報!】
心配されていた名古屋市も、育鵬社の歴史教科書を採択しなかったそうです。声をあげてこられた皆さんの大きな成果ですね。良かったです!— 杉原こうじ(NAJAT・緑の党) (@kojiskojis) August 7, 2020
#安倍首相 の求心力の低下が影響していることの現れか。歴史修正主義を助長しかねない #育鵬社 の教科書を #横浜市 が不採択。
横浜市、育鵬社版の教科書を選ばず 中学の歴史と公民
横浜市教育委は、育鵬社を使ってきたが、今回、歴史は帝国書院版公民は、東京書籍版を選択 https://t.co/kOVUWDDPeU
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) August 4, 2020
多くの方が教科書展示会に足を運び、実物を実際に見た上で意見を述べたりした結果でしょう。なお、教科書採択の前には教科書展示会をしなければならないことになっています。全国の展示会と教科書センターの所在地等はこちらから確認ができます。
今年の展示会はもう終わっていますが、京都府も含めて「教科書センター」では常時展示がされています。子どもたちが使う教科書に、多くの人が関心持ってくださればと思います。
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