「大学学費無償化」の嘘ーその2

7月18日に「『大学学費無償化』の嘘ー改憲案の危険性」という記事を書きました。この時は憲法との関係を中心に書いたのですが、9月18日の夕刻にこんなニュースが飛び込んできました。


どうしてこういうことになるのか、その仕組みも明らかになりました(写真をクリックしていただくと記事の内容が読めます)。


7月の記事にも少し書きましたが、すべての国公立大学には現在でも授業料減免(免除や減額)の制度があります。私立大学も同様です(すべてにあるかどうかまでは把握していませんが、多くの大学が備えているはずです)。
国立大学の運営経費は毎年国から交付されるわけですが、授業料減免のための経費を「来年度からは支給しない」ということになったのです。そして前の国会で成立した「大学等就学支援法」は授業料免除の対象を著しく限定しているため、これまでであれば減免を受けられていた人たちの半数にあたる学生が減免を受けられなくなるということです。
「無償化」はやっぱり嘘だった…という感じがします。正直な感想としては、私が在学していた時にこれが起きていれば、学業を続けられなくなっていたかもしれない…と思います。なお、公立大学と私立大学については、まだわかりません。来年度の国からの補助金がどのように積算されるのかは不明ですし、その上でどう対応するのかは大学によることになるでしょうから、蓋を開けてみないと(来年度にならないと)全体的な傾向はわからないかと思います。
おりしも「教育の公的支出割合、 OECD加盟国で日本は最下位」というニュースが。結局のところ、教育への支出を増やさずに、いわゆる文教予算の中でやりくりをするので上記のようなことも生じるわけです。


そして国立大学では授業料の値上げが相次いています。


国立大学の話ばかりを書いていますが、それは現在のところ国立大学の情報しか入手できていないためです。公立大学も私立大学も、補助金等の形で税金が投入されています。行政は同じ方針で大学に臨んでいるわけですから、国立大学で起きることは決して対岸の火事ではありません。
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。

 


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