子どもの学力と家庭

週に何度か大学の非常勤講師をしている私ですが,後期から「児童・青年心理学」という科目を担当しています。児童期と青年期の心理や行動について講義するのですが,児童期青年期において重要な問題になってくるのが「勉強」「学習」「学び」であります。悲しいかな,成績がいいということは世の中において価値のあることとみなされることが多く,親は子どもの成績がよくなることを望み,そのような家庭環境をつくろうとし,かなうならいい学校にいってほしいと思います(たぶん)。

家庭環境について,少々興味深いデータが出ています。母親の学歴が高く,父親の帰りが遅いもしくは単身赴任の方が子どもの学力がよいというものです。

これについては,その理由が誤解されており,世帯年収や経済的豊かさ,さらに父親や母親の言葉かけが大切という考察もなされています。

(引用)「母親の言葉の豊かさが子どもの知的発達に促進的に作用することは、かねてから教育心理学の世界で言われてきたことである。そうした観点からすると、母親が高学歴であることが子どもの言語環境を豊かなものにするため、子どもの知的発達が促される、その結果として子どもの学力が高まる、ということがあるのではないだろうか。 このような関連は、母親のほうが子どもとのコミュニケーションの量が多いことに起因するものであるとするなら、父親であるか母親であるかにかかわらず、保護者自ら読書などを通して語彙力を豊かにすることが、子どもの学力向上につながるといえそうだ。」(引用)

なるほど,子どもに勉強させようと思ったら,まず親自らが学ぶ姿勢を見せよということでしょう。学歴はどうにもならないので,両親の読解力,語彙力が重要ともいえそうです(結局,数学やなんやでもまず読解力にかかっていると私自身は思います)

子どもに勉強させようと思ったら,まず親自らが,親が一緒に,とは,他のサイトでも指摘されています。

(引用)「図鑑を買って、子どもにハイッと渡して、親がスマホをいじっていたら説得力ないですよ。図鑑は、むしろ大人が読むといいんです。昔とは変わっている事実もあって、おもしろいですから。まず大人が楽しんで読んで、その横に子どもをちょこんと座らせるだけでもいいんです。子どもは、大人から楽しさを学んでいきます。結局、教育の本質は子どもに何かをさせるんじゃなくて、大人がその姿を見せて一緒にやるということで、子どもが自然に学んでいくことにあるのです。」(引用)

確かに図鑑は私も今でも好きです。これ小学校のとき全巻持ってた!別冊が国語辞典と漢字辞典だけど教科ごとに全部事典があったのです。

結局「やりなさい」「なんでやらないの」じゃなくて「お母さんもやってみよう」「お父さんもやってみよう」だと思います。

ところで,人間において一番価値あるものは「学力」「学習」「お勉強」なのでしょうか。そこも疑問に思います。ノーベル賞受賞者の先生の子ども時代をのぞいてみましょう。

必ずしも「お勉強」ができたというわけでないものの,興味をもったものに一途というのは共通しているようです。

気になるのはどのサイトも「大人のかかわり」と言っていますが,大人がそんなに偉いのでしょうか。子どもが何かする時に必ず親,先生,大人の支えがいるのでしょうか。

私事ですが,息子5歳,先日七五三参りを無事終えました(諸事情で早めました)。ここまで成長してくれただけで十分だと思いました。そして,彼の「好きなこと」を彼自身に見つけてほしいと思います。いま,ひらがなの読み書きができますが,就学前の読み書き能力は就学後追いつくと言われているのでそのあたりは気にしていません。ただ彼自身が読むこと書くことが好きなら応援してあげたい,ほかにもっと好きなことがあるならそれもサポートしたい。なんでもいいから,「好き」「これがないと俺は生きられない」「これだったら3日でも1年でもやれる」ということを自分の力で見つけてほしい。それは勉強でなくてもいいけれど,それをするのに勉強が必要であれば勉強してほしい。

「高卒で相撲部屋に入りたいと言い出しても,本人の話をよく聞いて本気ならどーんと行かせることができる親」が私の目標です。それに,何歳になっても勉強はできますから。

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橋本京子
大阪府茨木市生まれ。京都で大学生・大学院生時代を過ごす。現在,心理学関係の研究,大学の非常勤講師をしながら,5歳になる息子の子育て中。「人間は“病的な心理状態を普通の状態に戻す”だけではなくて“もともと個人が持っている長所や強みを生かして,より幸せな人生を送る”ことができる。それは“しんどい”“つらい”時にも発揮される人間の力である」ということを実践,研究したいと考えている。