高齢期の暮らしと住まい(46)

昭和の団地は懐かしい風景

団地の高齢化と再開発

先週、福岡にある特養ホームについて記載しましたが、その後、もう一件視察に伺いました。昭和30~40年にかけて、全国の都市部で「団地」が大規模で開発されました。しかし当時入居した人々は、経過年数だけ歳をとっています。典型的な当時の「若い夫婦+子ども二人」家族は、今や子どもは巣立ち、高齢夫婦のみが残り(もしくは配偶者死亡で独居等)、どの団地も高齢化率が50%前後と非常に高齢社会になっています。当時はエレベーターがなくても5階まで上れた人々は高齢化で困難になっています。建物も古くなり、団地の「再開発」も進んでいます。その現場で新しい住宅を視察してきました。

 

建物1階には近隣の住民も利用できる社会福祉施設

多世代が住みやすい住まい

住宅供給公社の巨大団地の再開発。数年かけて建替えていきますが、訪問時は2棟が完成。視察目的は1号館にある「サービス付き高齢者向け住宅」でしたが、満室のため拝見することができませんでした。ただ、一般住戸も中の仕様は同じということで後程空き室を見せて頂くことができました。その前に、団地内および近隣の住民に向けた共有の設備に伺いました。高齢者向けのデイサービスが2ヶ所、そのデイを挟むように、こども食堂、放課後デイ、と介護や社会福祉施設を建物の中に組み込み、団地だけでなく誰でも利用できるようにしています。「多世代が暮らしやすい」を考えた、単に箱としての住宅づくりだけではない時代に変わってきていることを実感できました。

 

一般住戸も高齢者住宅と同様にバリアフリーや緊急時の対応可

一般住戸も高齢者住宅仕様に

住宅の1戸を見せてもらって驚いたのは、「ここは高齢者用ではないですよね?」というほどバリアフリーが充実。各部屋には段差はまったくなく、仕切りのドアもほとんどが「引き戸」です。さらに、玄関、トイレ、浴室にも手すりが設置され、コンセントの位置も通常より高め。多くの部分で国の定める「高齢者等配慮対策等級」の高いレベルになっていると感じました。その上、トイレとお風呂には高齢者住宅には必須の「緊急通報ボタン」があり、一般住戸に住む人にも対応しているそうです。今後建築の建物はさらに「エコ」仕様にもなっているとかで、住宅も「やさしさ」が大切にされる時代になったのだなぁと感慨深くなりました。

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山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。2016年独立。

 


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