全国学力調査結果によって苦しむ学校

8月に2回書きましたので、しつこいと思われるかもしれませんが、もう1回お付き合いください。
8月16日の記事に書きましたが、大阪市長が全国学力テスト結果を教員の評価・給与や学校予算に反映するということを言い出しました。具体的な検討が始まったとのことです。

「全国学力テスト」結果への反応(2)」で、1960年代に行われていた学力テストが、学校と子ども達にとって酷い弊害を招いたことを紹介しました。
実は現在行われている学力テストでも、同様の弊害が出てきます。
学力テストの点数upに向けた強烈なプレッシャーやテスト回答練習の横行があることが、名古屋大学の内田良先生の記事に詳しく紹介されています。

国として学力の状況を把握することは大事ですが、それは何年かに一度、サンプル調査で十分です。それなのに毎年悉皆調査をやるのは無意味でもあり、全国学力テストはやめるべきという意見もあります。

上記の内田先生の記事にもありますが、大阪のような点数の低い自治体のみではなく、点数の高かった自治体でも弊害は大きいのです。
「学力トップ」を誇ってきた福井県では、生徒の命が失われる痛ましい事件があったこともあり、議会が「福井県の教育行政の根本的見直しを求める意見書」を可決しました。「(学力テスト)日本一であり続けることが目的化し、本来の公教育のあるべき姿が見失われてきたのではないか」と指摘されています。全文はこちらから読めます。


「学力」というのは簡単には把握できないものですが、様々な理由でそれを把握しないといけない状況はあります(「健康度」を把握するのは簡単ではないけれども、健康診断は重要であるのと構造的には似ているかもしれません)。そいうときにテスト(学力テスト)が使われます。けれどテストというのは非常に危険なものでもあり、一人歩きをさせてはいけません。大阪の問題は全国の問題でもあると思います。

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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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