「全国学力テスト」結果への反応(1)

全国学力テスト(全国学力・学修状況調査)は小学校6年生と中学校3年生を対象に実施されます。日本の子どもたちの学力を、データに基づいて把握することは重要です。問題点が見つかれば、それを改善していくような教育政策を打ち出したり、重点的に予算を配分する判断をすることができるためです。
けれどそれを「学力テスト競争」と勘違いしている人もいます。
政令市で最下位だった大阪市の市長が、テスト結果を校長・教員の給与や学校予算に反映させると言い始めました。最下位であったことが、我慢ならない様子です。


twitterにはこんな意見が。

吉村市長の支持者からも。

個人的に気になるのは、どの報道を見ても「政令市で最下位」という順序ばかりが出てきていて、測定された学力が、「テストに参加した年齢の子どもたちの学力として妥当なもの」であったのかどうかの記述が出てこないところです。妥当であれば何位でも良いのですし、妥当でないなら1位でも良くありません。
また吉村市長の方針については、そのやり方で状況が好転するとは思いません。大阪市の学校教員になろうと思う人はますます減るでしょう。また「学校予算の配分にも反映させる」というのは、テスト結果が低かった学校の予算を削るということでしょう。本来やるべきは、その逆向きであるはずなのですが。
調査結果の概要が国立教育政策研究所のサイトに掲載されています。今回の学力・学修状況調査では、学校運営に関する取組も尋ねているようです。もし大阪の学校の学校運営に問題があるという調査結果が出ていたのなら、市長が学校と教師に対して「怒る」のも少しはわからないでもありません(1つの調査結果を短絡的に鵜呑みにするのは控えた方がよいと思いますが)。けれど今回の件は、子どもたちのテストの点数が「他の政令市より低かった」という点だけを見ての話のようで、幾重にも疑問を感じます。
なお、市長の発表の翌日に林文部科学大臣は、全国学力テストの本来の目的を踏まえて、慎重に考えてほしいという趣旨の発言をしています(上のリンクにあります)。
今回はtwitter上の反応を紹介しました。その後、ある程度まとまった論考なども出てきていますので、来々週にはそちらを紹介しようと思います。

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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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