かわらじ先生の国際講座~遠のく民主主義―今日のロシア

身近に感じにくい国際情勢を、京都産業大学教授の河原地英武がわかりやすく解説します。第2回のテーマはロシアの大統領選挙です。

今年3月18日に行われたロシア大統領選挙では、不正投票のことが話題になりましたね?
はい。同じ人間が二度も三度も投票する様子や、選挙管理委員会の女性スタッフが何枚も投票用紙を箱に入れる場面が、日本のテレビでも取り上げられました。

これはロシアでも違法行為ですよね。ロシア人はどう受け止めているのでしょう?
発覚した不正投票分は無効とされ、そのスタッフも解任されたそうです。しかしあの不正投票の様子を見るかぎり、当人もコソコソやっているわけでなく、周囲の者も完全に放置していました。罪悪感などないのでしょう。
ふつう不正投票は、それによって投票結果を変えることを目的としています。しかし今回の大統領選挙は、それは全く無意味なのです。いわば出来合いのレースでしたから、初めから結果は決まっていました。8名が立候補しましたが、その投票結果をちょっと見てみましょう。
第1位……プーチン(76.69%)
第2位……グルジニン(11.77%)
第3位……ジリノフスキー(5.65%)
第4位……サプチャク(1.68%)
第5位以下の候補者は微々たる得票率ですので省略します。このうち第2位の候補者はロシア共産党の代表で、党員による組織票があるので、この数字は想定内のものです。
ご覧のように、不正投票までしてプーチン票を増やす必要などありませんし、また不正投票によって逆転する余地は皆無でした。プーチン以外に国民が国政を委ねたくなる候補者は事実上いないのです。


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