バリアフリー
日本では1994年に、高齢者や身体障害者の方々が円滑に暮らせるよう、道路や建物を整備するための法律「ハートビル法」が制定されました。2006年には「バリアフリー新法」となり、より一層強化されました。段差の解消(エスカレーターやエレベーター、手すりの設置、視覚に障害のある方のための音声案内、聴覚に障害のある方のための点字表示など、いたるところで一般化(ノーマル)してきました。トイレも公共施設や商業施設では、オストメイト対応トイレ(臓器に障害がある人のための排泄処理がしやすいトイレ)も設置されています。10年ぐらいで街全体がバリアフリー化されてきていることを実感すると思います。
誰にでもわかりやすいピクトグラム
バリアフリー化と同時に、ピクトグラム(絵文字)も増えたと思いませんか?古くはトイレの男女別マーク、ブルーに白の車椅子マークは国際シンボル、緑と白の非常口マーク、などなど。文字を読まなくても直感的にわかりやすいメリットがあります。外国にいても、なんとなく意味がわかることが多いですね(外国はカラフルよりモノクロが多い)。特別な障害を持たない、いわゆる健常者と言われる人々でも、ピクトグラムで知らず知らずのうちに助かっていることも多いと思います。ピクトグラムも「バリアフリー」の一種と言えるかもしれません。
「障害者」ではなく「障害」を持つ「人」
英語では、認知症の人をPeople with dementia、障害のある人のことを People with disabililyと表現します。正確に言うと変化してきました。「人」が先に来ていることでもわかるように、一人の人として、その人がたまたま障害を持っているということです。たかが言葉ですが、されど言葉の重要性を感じます。高齢で要介護になることも一種の「障害」を心身にもつことです。それは特別なことではなく、誰もが加齢とともに自然に起こりうること。従って、障害は、どのタイミングで自分のことになるか、という問題だと思います。誰もが同じ。外見ではわからない困難を持つ方もいます。世知辛い世の中ですが、ほんの10秒、他人のために時間を使えるようになりたいものです。いつか、自分の立場かもしれません。
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山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。2016年独立。