“いまどき”の大学生

今年も終わりが近づいてきました。今年,自分として一番嬉しかったことは,いくつかの大学の非常勤教員として,週に数コマ(1コマ90分)の授業を担当することができていることです。「いまどきの大学生は…」などとはよく言われますが,実際に大学生の前に立って,授業後のコメントカードなどを見ていると,「大学生は」とひとくくりにできないことがよくわかります。ひとりひとりの学生はひとりひとりの事情や気持ちを抱えて,ひとりひとりせいいっぱい生きていることがよくわかります。

大学生の半数は“キャラ”を積極的に使い分けているという調査結果が先日発表されました。対象が関東圏の大学だけなのが気になると言えばなりますが。

SNSの普及がキャラの使い分けに影響しているとか。しかし,また,キャラを使い分けているのは大学生だけでなく社会人もではないかしらという気も私はします。私は心理系の授業を担当しているので,授業後のコメントカードで自己開示してくる学生もいます。こういうキャラになってるけどしんどいという意見も時々みられます。

また,就職活動に不安を抱いている学生も多く,4回生にならない2・3回生のうちから「インターンシップで休みます」という報告もよく聞きます。一方で教職を目指している学生は現場での実習や介護等体験で授業を抜けます。

「就活はしないといけないもの」と思っている現状に不安を感じる私です。いくつかの青年心理学のテキストを読むと,高校時代はとにかく「いい大学に入れ」「将来大事だから資格をとれる大学を」と急かされ,将来について深く考えないまま,ブランドと将来性で大学と学部学科を決める傾向がありそうです。そして大学に入れば,1・2回生の間は必修も多く単位取得で忙しい(資格関連の学部学科は当然必修が多く,単位を落とすと“問題学生”扱いされる),3・4回生になれば就職活動はじめなさい…。

そんなに急がなくても「いい企業」に入ることが一番ではないから,そのときそのときで自分にとって“これがいちばんいい”と思う選択をしなさい,と学生には言いました。

また,「最近の大学生は本を読まない」については,学生自身は「ネットの普及もあると思う」「私は本が好きだからひとくくりにしないで」というリアルな声を私は耳にしています

ひとりひとりの大学生をみていると「いまどきの大学生」ではくくれないことがよくわかった,そんな1年でした。

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橋本京子
大阪府茨木市生まれ。京都で大学生・大学院生時代を過ごす。現在,心理学関係の研究,大学の非常勤講師をしながら,5歳になる息子の子育て中。「人間は“病的な心理状態を普通の状態に戻す”だけではなくて“もともと個人が持っている長所や強みを生かして,より幸せな人生を送る”ことができる。それは“しんどい”“つらい”時にも発揮される人間の力である」ということを実践,研究したいと考えている。