入管法の変更による問題点は前回記事でも紹介しましたが、例えば、難民申請の回数が制限されることで強制送還のリスクが大幅に高まることが懸念されています。それにもかかわらず、このような法の変更をしようとする根拠(立法事実)としては、「送還されるべきなのに帰らない人(送還忌避者と呼ばれる)が多すぎる」ことや、「難民申請をする人たちの中に『本当の難民』がいない」ことが挙げられていました。これらの主張は本当でしょうか?
そもそも、日本の難民認定率が異様に低いことは、前回の記事でも紹介した通りです。仮に欧米並みの認定をしていれば、「何度も申請してくる人がいて困る」という状況は解消されるはずかと思います。こちらのラジオでは、日本で実際に起きた事例が紹介されています。中には、政治犯として母国で逮捕状が出ているにもかかわらず、「偽造ではないか」と疑われ続けた事例や、国連で難民認定されているのに日本では認定されなかった例もあります。
【#追っかけ再生】4/26(水)特集「日本の入管難民行政の現状と、入管難民法改正案の問題点」
出演:大橋毅(弁護士)
荻上チキ・Session | TBSラジオ | 2023/04/26/水 15:30-17:50 https://t.co/2PHf7RVVnB #radiko #ss954 pic.twitter.com/JXdpxhpbH8
— 荻上チキ・Session (@Session_1530) April 26, 2023
#新着記事公開 #d4p
クルド人のアハメットさんは、国連から難民と認められていたにもかかわらず日本からトルコへ強制送還されました。「日本が大変な状況になったとき、日本の人々はどこに行けるのか」。入管法改定案の審議が進む中、アハメットさんはそう問いかけます。https://t.co/twioaFNfbU— 認定NPO法人 Dialogue for People(D4P) (@dialogue4ppl) May 8, 2023
ある難民審査参与の方が、申請者の中に難民はいないという発言を国会等でも行っており、これが立法事実になっています。しかし実際には、ありえない数の申請を処理していると報告していたり、彼女の所属組織が難民認定に係る専門性を否定するなど、証言に不自然・不適格な点があることも指摘されています。
柳瀬氏が名誉会長を務める「難民を助ける会」から2度目のコメント。【①柳瀬氏は同会の名誉会長としてではなく個人で難民審査参与員を務めている】【②同会は難民支援をしているが難民認定に関する知見はない】とのこと。下記記事に追記しています。#D4P #入管法改悪反対https://t.co/NiGxgYGjOH
— 認定NPO法人 Dialogue for People(D4P) (@dialogue4ppl) May 19, 2023
送還忌避者の数についても、入管庁は最初は「統計がない」と言っていました。これ自体も立法事実の存在を否定する答弁ですが、国会でのその後の追求等で「統計はあるが隠匿している」ことが明らかになっています。さて、なぜ隠匿するのでしょうかね?
入管が「とってない」と答弁していた送還忌避者の数、実はしっかり把握しており、ずっと隠していたことが判明した。
(仁比そうへい議員/2023.5.18衆院法務員会)#入管法改悪反対 pic.twitter.com/f7CV9V4QI7— 𝐄𝐌𝐈𝐋 (@emil418) May 18, 2023
G7の開催を前に、アムネスティからも懸念が表明されています。
G7議長国である日本は、国際人権法・基準を満たさない法制度を多く存置し、今も多くの人権侵害が見過ごされたままです。#G7広島サミット 開催を前に、アムネスティ日本は日本政府に対し、抜本的な制度改革を推し進めるよう強く求める要請書を提出しました。https://t.co/fys8c4pIh6
— アムネスティ日本 (@amnesty_or_jp) May 17, 2023
立法事実の怪しさを指摘するよくまとまった記事も見つけました。ぜひこちらもご覧ください。
参議院で審議中の入管法改正案は法案として提案できるレベルなのか? 法案の根拠の数字に疑惑や隠ぺい続々 https://t.co/oPwr5TG7ja @dot_asahi_pubより
— 指宿昭一 (@ibu61) May 20, 2023
また立法事実とは異なるのですが、日本の国の中には外国人に対する誤解もあり、それが今回の入管法の変更に係る議論につながっているように思います。
外国人が増えると治安が悪化する?
犯罪が増える?根拠のない妄想でしかありません。
法務省犯罪白書によれば、外国人の検挙件数は,平成17年の4万3,622件をピークに減少。令和元年1万4,789件(前年比4.9%減)
一方この間、在留外国人の数は大幅に増加。令和4年6月末で296万1969人(前年比7.3%増) pic.twitter.com/bWCOp5zK24— 山田勝彦 衆議院議員 立憲民主党長崎2区 (@yamabiko719) May 2, 2023
維新の会の梅村議員の発言が話題になっていますが、「非人道的な状態に置かれている人たちを支援する団体をターゲットにする」ことはこの問題以外でもありますが、注意すべきところかと思います。
「タブーに切り込み支援団体をつぶさにチェックする」って既視感あるなと思ったら、昨年末からのColaboを巡る話で、ネットの支持を集めたくて火のない(あっても超薄い)ところに煙を立て続けた維新の音喜多政調会長のふるまいだった。このスキーム自体が維新の政務調査会の常套手段ということですね。 https://t.co/U3mbkCRl0A
— 津田大介 (@tsuda) May 20, 2023
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