カナリア朗読劇場~「日本国憲法」第13条

「日本国憲法」シリーズ第3弾は第三章 国民の権利及び義務から第13条をお届けします。13条は個人の尊重と公共の福祉についての条文です。日本国民はすべて自由や幸福を追求する権利がありますが、好き勝手にやって良い訳ではなく「公共の福祉に反しない限り」との但し書きが付けられています。自民党の改憲草案では13条を「すべて国民は、個人として尊重される」から「全て国民は、人として尊重される」に変更しています。一人一人の個性や考えを持った「個人」から「人」へ。たった一字の違いですが、何故わざわざ「個」を削除しようとしているのでしょうか。国の方針と個人の権利がぶつかった時に、個人の権利が勝る今の13条では都合が悪いのかも知れません。また「公共の福祉」は「公益及び公の秩序」に変更されます。そうすることで、国の意向に逆らう人の権利は制限できる様になりそうです。「個人」と「人」の差は思っている以上に大きい。現在の13条の条文を今、改めて確認しておきましょう。朗読はフリーアナウンサーの塩見祐子さん、イラストはかしわぎまきこさん、解説は関西勤労者教育協会副会長・中田進さん、動画の再生時間は40秒です。引き続き第9条はこちら、前文はこちらからお聞き下さい。

《第13条解説
「個人として尊重される」素敵でしょう。大人も子どもも、女性も男性も、豊かな人も貧しい人も、障害の有無、生まれも育ちも、顔つき体つき、考え方感じ方も、性格も価値観も違っても、みんなその人にしかない「個性」があり、かけがえのない人格を持つ一人の人間として尊重されるべきものなんです。世界で一人しかいない「個人」なんです。すべての個人は平等で、他人を犠牲にして一方的に自分の利益を主張したり(利己主義)してはいけません。自分の人権が他人の人権を侵害する場合に、両方の人権を生かすように調整する原理が「公共の福祉」です。「全体の利益」や「公益」「国益」「公の秩序維持」などのあいまいな概念で一人ひとりの権利を制限すること許されません。「国家や社会のため」という名目で、特定の個人がないがしろにされたりするようなこと(全体主義)は決して許してはならないということです。自国の国家権力による威嚇のみならず、他国の武力による威嚇もなくしていくことが「個人の尊重」のために重要ですね。戦争のない世の中をつくるという平和主義の理念は人間の尊厳、個人を尊重するために憲法が掲げた理念です。
「生命・自由・及び幸福を追求する権利」は憲法が保障する「人権」をすべてを含んでいます。
まず「生命」です。いま、ロシアの軍事侵略によりウクライナの人々、そしてロシアの兵士の命も奪われています。「生きる」権利を脅かすものは戦争です。平和でこそ生きる権利が保障されるのです。前文の平和的生存権と直結しています。
「自由権」とはなんでしょう。みなさんとご一緒にこうして「カナリア倶楽部」で自由につながることができるのは素敵ですね。思想・宗教・集会・結社・表現の自由や、通信の秘密や学問の自由など「精神の自由」や不当に逮捕されない「人身の自由」、居住や職業選択の自由、財産不可侵の自由など「経済の自由」などは「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」(憲法97条)なんですね。この自由が奪われたら大変ですね。
「幸福追求権」・・なんかワクワクしますね。みなさん「幸せですか」。「幸せになる」権利があるんです。趣味豊かに、快適に、自分らしく「幸せに」生きたいですね。プライバシー権、環境権、自己決定権、肖像権、国や自治体などの情報を知る権利など「新しい人権」などは13条の「幸福追求権」が根拠とされ、日本国憲法には「伸びしろ」があります。

※次回は6月13日(月)に第25条を公開予定です。


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