前回は玄関用のスロープの話をしましたが、玄関から出るのがベストかどうか、もう一度考えたいと思います。例えばガレージのあるお家で車椅子を使う人の居室がガレージに面していたり、居室からガレージに面した部屋に簡単に行くことが出来るなら、そこに段差解消機を置く方法があります。段差解消機は垂直に台座が上下するものですから、段差解消機を置いた所から路面に面したガレージに下りて、そのまま外に出ることが出来ます。段差解消機を借りたらそれで済むのに、玄関から出入りすることにこだわってしまうと、クリアーしなければならない問題が色々出ることがあります。どこから出入りするかを考えるのは大事なことです。
勿論、玄関に段差解消機を設置することも出来ます。玄関に設置するのが最も効率が良ければ、それでも構わないのですが、玄関というのは住宅の建築基準法によって道路面から概ね45センチ上がっているので、どんなお家でも階段など何かの高さがあるはずです。梅雨のある日本では、風通しを良くして湿気を防ぐ為に床を高くしているのです。玄関に段差解消機と車椅子を置けるだけの広い面があって、そこから出て行くことが出来れば良いけれど、ある程度の広さが必要ですし、そうした条件を思うと、どこから出るかを考えて段差解消機をレンタルするのもひとつの方法です。また、屋外用の階段昇降機で出る方法もあります。更に3、4段程の階段であれば支柱を立てて、リフトを使って安全に降ろすことも出来ます。段差を解消する手段はたくさんあるので、玄関から出ることにこだわり過ぎない方が良いのではないかと思います。
※「高齢生活研究所」所長 浜田きよ子さんの排泄や福祉用具にまつわる話を、毎月紹介しています。前回はこちら。排泄や介護に関する相談は排泄用具の情報館「むつき庵」まで。