コロナ禍で家に居る時間が長くなり、それ以前は趣味の一つであった映画館に行かなくなったかわりに、オンデマンドのドラマ作品をよく見るようになりました。
普段はアメリカの刑事ドラマを楽しみにしていますが、先日NetFlixでたまたま目に留まったのが「未成年裁判」という韓国のドラマです。これは、少年事件を扱う裁判官が、さまざまな事件で少年と出会い、その原因を社会の中に見出す話…のようです。オンラインで公開されて間がないので、これから見る人のためにあらすじに触れるのはやめておきます。
私たちが生きる中で、いろんな困難に直面します。そのいくつかは、個人の行動や選択が原因の場合もあるとは思いますが、しかし、それももっと深く原因を探ってみると、実は社会の側がそれをもたらしている、ということが考えられます。
障害の原因と対応を考えると、以前は個人の能力に目が向けられていましたが(障害の医学モデルや、個人モデルと呼ばれています)、最近では社会が障壁を作っているととらえ、障害の社会モデルと言われています。
特に、子どもの場合、大人が作る社会のしわ寄せを知らず知らずのうちに受けて、それを大人が眉を顰めるような表現方法で表現している場合があるように思います。私はスクールソーシャルワーカーもしていますが、私の経験上も、周囲のスクールソーシャルワーカーをしている仲間との話の中でも、子どもの話を聞いてみると、その行動には理由があり、よく見ようとしないと見えない理由のことが多いものだということがあります。
大人の側は子どもに対して「しっかりしろ」「そのままだと、将来、君が困るよ」などと、子どものその場の表現について叱ることがありますが、本当は、もっと奥深い課題の有無を確かめて、必要な声掛けをしなければならないのではないかと思います。
「未成年裁判」を見ていると、日頃のスクールソーシャルワーカーとしての考え方や、社会福祉士として更生支援を行うときの考え方など、これまでの自分の考え方やこれからの取り組みについて考えさせられるヒントがたくさんあります。
3月が始まり、もう4月がすぐそこに。4月になると成人年齢が引き下げられ、若い人たちがいろんなトラブルに巻き込まれる可能性が増えてくると予想されています。また、4月になると進学、就職し環境がかわることでストレスになったり、生活パターンがかわっていろいろと苦労の種が舞い込むこともあるでしょう。期待感と夢が広がる春のシーズンですが、環境が変わり、特に若い人たちと社会とのかかわりも変化をするという点では、注意を要する時期でもあります。
昨今、人間社会の状況は不安や悲しみが大きく感じられる状況ですが、人それぞれの尊厳を大切にし、みんなで安心して暮らせる社会を作っていきたいものです。障害の社会モデルで考えると、社会が変われば障害はなくなります。不安や苦痛がなくなるような社会へ変化していけることを祈りたいと思います。子どもが元気に安心して暮らせる社会を作っていきたいものです。