「子ども庁」という考えが菅内閣時代に出てきたときに、カナリア倶楽部でも取り上げたことがあります。
岸田政権になり、具体化に向けた検討が進んできました。この経緯の中で、組織の名称は虐待被害者の声なども聞いた上で「子ども庁」に決まっていたのを、突然に「子ども家庭庁」に名称変更することになってしまいました。
https://t.co/ydwDTeczZU
こういう過程があっての「こども庁」だったという事を知ると余計に解せないですねこの名称変更は。こどもは家庭だけじゃなくて社会皆で守るものっていう時代の流れに逆行しすぎていませんか。— あんころ (@7HpVpcCbGRrKcUm) December 15, 2021
子ども新組織の名称
「こども家庭庁」に変更https://t.co/pw87LFYD4c伝統的保守派が子ども虐待を温存してきたから、虐待サバイバーが勉強会に招かれて「こども庁」にしてほしいと訴え、勉強会では「こども庁」の仮称に決まったの
これを覆すなら、保守派の議員が死んでから省庁名を変えればいい
— 今一生@新刊『子ども虐待は、なくせる』 (@conisshow) December 14, 2021
これは、短いが「ひどいニュースだ」と思う。
「伝統的家族観を重視する自民党内保守派」とは、要するに昭和の大日本帝国時代の精神文化を継承する日本会議/神社本庁系議員のことだが、それに関する予備知識をメディアが全然供給しないので、問題の危険性が全然伝わらない。https://t.co/sdRaYi9v7d pic.twitter.com/rkZQmMwNBn
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) December 14, 2021
この変更案に対してtwitter上には、親からの虐待などのために家庭にいることが辛かったという人々などから、失望や懸念の声が上がっています。
こども庁→こども家庭庁、なぜ 「家庭は地獄だった」ある女性の訴え:朝日新聞デジタル https://t.co/mCfLUN3TVQ
— Junko Nishigaki (@JNishigaki) December 16, 2021
私は親とは絶縁している。この前どうしても手続き上必要になり行政書士を介してやりとりしたが、相手の伝言を聞かされただけで過去のフラッシュバックで冷や汗と吐き気と動悸がして倒れそうになった。どうしたって機能しない家庭はある。家庭抜きでも子供が育つ社会であってほしい。「こども庁」がいい
— 小野美由紀 (@MIYUKI__ONO) December 17, 2021
「伝統的家族観」とやらに当て嵌まらない子供には、配慮しないんですか。誰のための組織なのか?
「予定していた「こども庁」から「こども家庭庁」に名称を変更する方向で調整に入った。伝統的家族観を重視する自民党内保守派に配慮する。」 #NewsPicks https://t.co/t4bZ3WNMXR— 平野啓一郎 (@hiranok) December 14, 2021
2007年には民主党も「こども家庭省」の提案をし、安倍首相が「子供をまさに中心に我々は政策を進めていかなければならない」と答弁。
「子ども中心」というのは現代のリスクワード。生産性を求める社会で「子ども中心」としても、子どもはそもそも生産至上主義でないので、大人に翻弄されるばかりだ。 https://t.co/AfwLnOWWDX— 桜井智恵子 Chieko Sakurai (@chie_sak) December 15, 2021
私自身も、「家庭」は抜いて「子ども庁」が良いと考えます。理由は3つあります。1つは「家庭」に恵まれない子どもたちのことを考えるべきだからです。そういう子どもたちは、家庭に恵まれた子どもたちよりも、何かにつけて不利な状況にあり、社会の支えを必要としています。政治はそういう不利な状況にある人々にこそ、目を向けるべきでしょう。
2つめは、親が子どもを適切に養育できない理由は様々ですが、それが経済的な理由であれ、精神的・体力的な力量の問題であれ、「親としての心得」のようなものを説教すれば改善するというようなものではないからです。「家庭の大切さ」を説くことは、子どもの助けにはなりません。むしろ、よりしんどい気持ちにさせます。
3つめは、そもそも日本の政策は「育てる」「世話する」「看病する」といったケア役割を家庭に押し付ける傾向があり、そのことが特に女性の経済的自立を困難にするとともに、子どもと大人の双方の育ちづらさ、生きづらさを助長しているからです。
子ども庁のあり方の議論の過程では、日本の法体系では手薄な「子どもの権利の保障」をしっかりとやろうという議論も行われたという経緯があり、期待する向きもありました。
書きました!
こども政策の推進に係る有識者会議報告書(骨子案)の特徴まとめました
子ども若者と進む素晴らしいチーム応援してます☺️どうなる、こども庁?子どもの意見も聞いた有識者会議の骨子案と展望 #子ども基本法 #こども政策・予算(末冨芳)#Yahooニュースhttps://t.co/1juRcWAz4i
— Kaori Suetomi 末冨芳💫『子育て罰』光文社新書、親子に冷たい日本やめさせましょう! (@KSuetomi) November 20, 2021
しかしこの名称変更は、そのような期待を裏切るものであるように思います。子どもの生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の保障を進めていくような組織にしていく必要があります。
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。