今年も早いもので、12月になりました。皆さんのウサギ年はいかがでしたか?私のこの一年は、あっという間でした。大人になり、年に一つずつ年をとり、そのたびに「あっという間に時間が過ぎる」の「あっという間に」のスピードが加速しているように感じます。いずれにしても、今年最後の1か月、穏やかに、できれば楽しめる時間が多くありますように。
さて、年をとっても人間関係の悩みは尽きず、また、社会福祉士という仕事をしていると、さまざまな生活上の課題についてご相談をいただくことがあり、その主な要因は「他者」という環境要因であることも少なくなく、やはり人間関係の悩みは尽きません。もっとも、他者との関係があり社会に参加しているから、人間関係の悩みが生じているということかもしれませんが、悩みの渦中にいると、「あぁ、1人になりたい」と思うことはありますね。
先日、ひょんなことからPHP新書「社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで」(山岸俊男著、2000年)を読みました。発行されてから23年が経過していますが、社会的ジレンマはもっともっと前から社会に存在し、いまだにジレンマの場面は生活の中でも意識をして考えれば、「あぁ、これがその状況か」ということがあり、いろいろと気づくことの多い読書タイムになりました。
私は社会福祉士として、スクールソーシャルワークに携わっていますが、「いじめ」への対応はなかなか難しいものです。そもそも、人間が複数集まると色々な違いや感情から、いろいろなことが起こるのは、むしろ自然なことだと思います。それを、例えば理性で、例えば知識によって、その集団を自分にとって安心安全なものとし、同時に他者にとってもそのようになり、お互いに安心安全が維持できるように、関係性を保てると良いな・・・というのが理想ですが、なかなかそうはいきません。まだまだ知識も少なく、発達途上の子ども同士の関係に、学校や家庭や組織という大人側も関わり、対応は複雑に絡んでいきます。広い視点で、長い目で見てみると、クラスにいる他者をいじめることに、良い点はないはずなのですが、超短期的でその場の(しかも子どもの中での)人間関係性を考えると、長期視点に立つよりも強い利得があるととらえているのかもしれません。子供社会も、なかなか複雑な社会的ジレンマを抱えていると、振り返れば思い当たることがあります。「いじめはダメ」と言い続けることは必要ですが、ただ、それだけで解決できるものでもなさそうです。何をどのように理解し、説明し、確認し、取り組むべきかは、人間の集団と個人の判断についてよく考えてみる必要がありそうです。
また、私は地域防災にもかかわる仕事をしていますが、「備蓄しましょう、持ち出し袋を作りましょう、備えましょう!」の呼びかけは、なかなか浸透しません。敏感で慎重な方は、どんどんと備える一方、そうでない方はその場では「備えないとね」とおっしゃったとしても、実行に移すまでが遠い道のりです。何かあったとき…例えば台風がきて、避難指示が出た場合…実際に避難を早期に行う人は、少ないのが現実です。避難して空振りに終わることを考えますし、「たぶん自分は遭遇しない」と思う正常性バイアスは強烈に存在感を示して私たちを根拠なく安心させてしまいます。そんな中、どうすれば避難準備をすすめ、できれば隣近所の避難支援が必要な人とともに逃げていける準備を整えられるのかは、大きな課題です。
分かっているけど、適切な行動に結びつかないということや、分かっているからこそ違う行動をしてしまうこと、分かっていないのに適切に行動できていること、ただし、それらも短期的にはわからない場合があり、いろいろと悩ましいものです。
あぁ、分かっているけどできないことや、分かっているけどやめられないことが、どれほど多いことか・・・社会的ジレンマについてゆっくり考えてみると、興味深くはありますが、実際の対応を考えるとなかなか難しい課題だと思います。
いずれにしても、これは良い!解決!という即効性のある答えは見つからないのですが、しかし、読書をすることで、新しい考え方や視点を得ることはできます。
今年はあまり読書はできませんでしたが、来年は龍が舞い上がるように、読書数を舞い上がらせたいと来年にゆだねたいところですが、今年はまだあと1か月あるので、もう1,2冊は読もうかと思います。皆さんも、今年あまりできなかったことを、ラストスパートでいくつか進めてみてください。
そして、大満足な気持ちで年末を迎えたいものです。