個別避難計画作成,マイ避難計画は誰のため?

近畿地方の梅雨が明けたようです.以前…もうかなり昔のことに思いますが…は,梅雨が明けたと聞くと,うっとうしい雨から解放され,楽しい夏がやってくると思い,心も晴れ渡る気分でしたが,最近では,より一層増すであろう暑さが怖いです.
梅雨が明けたからと言って,雨が降らないわけでもなく,これからの台風シーズンも恐ろしい気がします.大きすぎる台風ができませんように,と祈る思いですが,どうやら地球の温暖化で超大型の台風が生まれやすくなっているので,私たちに出来ることは,備えることのみです.

7月7日のNHKニュースでは「共助死」という言葉が聞かれました.ニュースの内容はWebでも配信されています.

災害「共助」活動での死亡 20年余で11人 “慎重に考えるべき”
災害「共助」活動での死亡 20年余で11人 “慎重に考えるべき” | NHK | 西日本豪雨
2023年7月7日 11時10分

ニュースではこの20年あまりで11人が,災害時に地域で助け合おうとした際に,洪水などに巻き込まれて亡くなったとの調査結果が報告されていました.

これは風水害での調査であるため,それ以外の自然災害を含めると,もっと多くの人が,まわりの人を助けに行こうとして命を落としていると思います.自然災害に限らずとも,振り返ると日々のニュースの中では,人を助けようとして自らが犠牲になり命を落としたり,けがを負ったという話題は,時々見られます.誰かが危険な状況にあれば「助けなければ!」と思い,それを行動に移す人がいることは,人間が集団で生活し安全を確保するためには,人間同士の自然な行動なのかもしれません.

私は防災の研修を行うときに,互助や共助という言葉を使うこともありますが,防災で大切なのはまず自助であり,そこでは自分の命をまず守る,ということも大切であり一番に守るべきことだとも伝えています.しかし,助けたいと思うことも,助けられなければ心苦しさがついて回るだろうということも,人情としては当たり前のものだとも思います.だからこそ,あえて何度も,自分の命を守ってほしいと伝えています.

共助をしようとして命を落とすことを防ぐためには,特に天気予報でいくらかでも事前に危険が把握できる風水害については,「事前の準備,日ごろの準備」が大きな役割を果たします.特に避難に支援が必要な人は早めの避難が大切です.洪水が起こったあとの水かさが増しているときや,土砂災害が発生してしまったあとでは,そこにいる人すべてに命に係わるリスクが発生します.理想的には,そうなる前に避難を完了させることが必要です.

2021年5月から市町村の努力義務とされている「個別避難計画」の作成は,『高齢者や障がいがある人等,避難しにくい人のためのもの』と考えられることが多いと思いますが,実際は,その当事者の命を守るだけのものではなく,支援者側の安全も確保できるものであると思います.

個別避難計画は,当事者,地域,行政,そして福祉専門職等が集まって作っていくものですが,避難計画が必要なのは,高齢者や障がいがある人だけでなく,私たち全員に必要なものです.どのタイミングで,どこへ,どうするのか.そのために,事前に何を確認し,何を備えておくのか.それらを前もって考え,準備をし続けることは,全住民にとって大切なことです.

自分のため,周囲の命を守るためにも,自分の避難計画を見直しましょう.

これは,最近ベランダで実り始めた,ビルベリーです.ビルベリーはブルーベリーの仲間だそうで,味も同じで見た目もそっくりですが,ブルーベリーよりはるかに小さいです.収穫するのも,小さすぎて面倒くさい…いや,熟れている実を探して一つ粒ずつちぎる作業が細かくてなかなか苦労します.まだ木が小さいので,数日に数個ずつしか収穫できず,食べても食べた気がしない量なのですが,でも,しっかりとした酸味もあるさやわかな味が楽しめます.猛暑でエアコンの熱風が吹くベランダでがんばるビルベリー.毎朝の「今日は実ってるかな?」という楽しみを提供してくれる素敵な木です.

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兵庫県在住。「福祉×ICTで、毎日を安心安全に、心豊かに。あなたに寄り添う相談援助」をモットーに『森のすず社会福祉士事務所』開業。成年後見等による高齢者・障害者支援、認知症の方と家族の支援ならびに防災と福祉の地域啓発活動、スクールソーシャルワーカー、各種研修講師などの活動に取り組んでいる。2022年から同志社大学社会学研究科の後期課程博士課程院生。カレーと豆好き。犬大好き。社会福祉士、公認心理師、防災士。介護支援専門員。第1種大型自動車免許、2級FP技能士、第2級アマチュア無線技士。