被選挙権年齢の引き下げを求める公共訴訟が始まりました

テレビでも少し報道されていましたが、諸外国と比べてかなり高い日本の被選挙権年齢の引き下げを求める公共訴訟が始まりました。


「公共訴訟」という言葉はあまり馴染みがないかもしれません。社会の制度等を変えていくための方法として、一般的に思いつくのは政治かと思います。しかし政治だけでは、うまくいかないこともあります。民主主義のもとの政治はどうしても、多数の人の意見が通りやすいです。少数者の意見を無視するわけではないとしても、後回しにされがちなことは否めません。
そこで、別のルートとして登場するのが司法です。司法が「この状態は違憲だ」と判断すれば、立法府は法制度を新しくする必要が生じます。
比較的報道されている行政訴訟としては、選択的夫婦別姓を求める訴訟や同性婚を求める訴訟などがあります。国外に居住する日本人が選挙権を行使できるようにした訴訟など、「成功例」もあります。


さて、かつては20歳以上だった選挙権は18歳まで引き下げられましたが、被選挙権年齢は高いままにとどまっています。この状況は国際的にみて極端であること(被選挙権年齢が高すぎること)や、それによって若い人たちを政治から遠ざけている可能性を指摘する声は、研究者やNPO法人の運営者などから、以前から上がっていました。


そして今回、当事者である若い人たちが行動を始めました。裁判は始まったばかりですが、行方を見守っていきたいと思います。また現実的な話、公共訴訟には(上の記事の通り)資金も必要で、クラウドファンディングなども行われています。
原告団の一人の能條桃子さんが、訴訟に至るいきさつ等について話している動画もありましたので、紹介しておきます。

なお、原告は若い人たちでも、それを支えている「年長者」は弁護士さんをはじめ多数存在しています。そのことについて一部の人たちが「原告は操られている」といったことを言うこともあるようですが、それは違うと思います。そもそも、当事者と支援者が一緒に声を上げるというのは、どのような問題についてでもあることです。
私自身も、大学のあり方や学費問題等について様々な要求活動をしている学生の話を聞いたことが何度もあります。彼女・彼らは自分の意志で行動をしていましたし、周囲の年長者は様々に支援をしたり励ましたりしていました。「年長者が支援している=年長者に操られている」というのは、若い人たちに失礼ではないかと思います。
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西垣順子<大阪公立大学 高等教育研究開発センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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