今年度は、3年ぶりに公的年金が引き上げされますが、全体的に長い目で見ると、もらえる年金額は徐々に減り…。「将来、年金がもらえないかもしれない。」とか「年金保険料を払うより、その分を貯めておいたほうがいいのではないか。」という、不安の声は、私が大人になったころからずっと続いている気がします。
私は4月生まれなので、4月になると「年金定期便」が届くのですが、毎年そこに記載されている金額を見るたびに、『誕生月に将来を悲観してブルー』を経験します。
あぁ、老後、どうしよう。
高齢の方とお話をしていると、お金の工面の際に時々話題に上がるのが、住んでいる住宅を元にする方法です。具体的には「リバースモーゲージ」と「リースバック」と呼ばれる仕組みです。カタカナでややこしい・・・のですが、今後のお金の不安を少しでも解消すべく、簡単にご説明します。
まず、「リバースモーゲージ」
モーゲージって何?と気になりますが、英語で担保や抵当を表す言葉です。どうやら、住んでいる家を担保に入れるんだろうな、ということが想像できます。しかし、それだと、ローンを組んで家を買ったときにも、抵当権が設定されていたりするのでは?とおもうところ。
リバースモーゲージとは、単に家を担保にお金を借り入れ、返済していくのではなく、家を担保にお金を借り入れ、毎月利息分を支払い、契約者が亡くなったあとに自宅を売却し(または相続人が支払うことで)一括で元金を返す方法です。
家に住みながら、まとまったお金を「借入」でき、毎月の返済は少額で、自分の死後に家を売って返済される、というシステム。
条件は、自宅建物の状況、年齢や借入金額、借入金の使途、同居人、不動産価額や金利の変動などに制限がある場合もあるので、事前に確認してしっかりと検討する必要はあります。自宅不動産を持ちながら、将来の金銭面と「家のその後」が心配な場合には、有効に使える手段の一つではないかと思います。
つぎに、「リースバック」または「ハウスリースバック」
リースとは何?と気になりますが、英語で賃貸借の意味を表す言葉です。クリスマスの輪っかになった柊の飾りではありません。
住宅をリースする、というと、単に賃貸住宅を借りるということになりますが、リースバックは自宅不動産を持ち、そこに住んでいる人が利用できるものです。
所有不動産に住んでいるのに、賃貸?と思われるでしょう。リースバックでは、自宅の家を売り、その後は賃料を払って住み続ける、というものです。
つまり、今まで住んでいた自分所有の家は、ある意味「大家さんは自分」状態なのですが、リースバックをした後は、「大家さんは売却した相手」ということになります。所有権が移ります。この場合、まず、家という不動産を売却し、まとまったお金が手に入ります。売却益として得たお金をどう使おうと自由という点は、借入金のリバースモーゲージより、メリットです。しかし、以後は賃貸物件を借りて住んでいる人、という状態になるので、家賃が発生します。もしも長い期間住むと、売却額よりも嵩む場合もあり得ます。
自分の住み慣れた所有不動産を、賃貸の形態にし、固定資産税も気にせずに気軽に住み続ける、ということはできますが、リバースモーゲージと同様に契約内容はさまざまな場合があるので、詳細はしっかりと事前に確認することも大切です。
人の人生には終わりが来ますが、その時に持っていける財産はなく、今からその時を想像すると「あぁ、この不動産や動産は、どうされるのだろう。誰かに多大な迷惑をかけるんだろうか」と思わずにはいられません。断捨離という言葉は、もうずっと前から広く知られていますが、とはいえ、住んでいる場所自体をそう簡単に断捨離することもできません。でも、今後の日本の人口動態と経済を考えると、自分でお金を工面する工夫も精一杯したいところです。どうすればいいの??
何をどうするか、何を残し、何を手放すか。
後から少しでも後悔しないようにするために「へー、そんなのがあるんだ」と知ったあとは、もし、必要かもしれないと思ったら、しっかりと情報収集をして冷静な判断を。
いずれにしても、将来にわたる暮らしの安心は、まずは「知る」ことからスタートだと思います。