令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況が発表されました。それによると、出生数は前年の 84 万 835 人より 2 万 9231 人減少して81 万 1604 人。合計特殊出生率も前年度の1.33から1.30へ減少。一方で、死亡数は143 万 9809 人で、前年の 137 万 2755 人より 6 万 7054 人増加。(参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/kekka.pdf)
以前からの傾向が続いているわけですが、もう一目見ただけでわかる、死亡数(143 万 9809 人)>出生数(81 万 1604 人)のバランスであり、人口はどんどんと減り続けているのを強く実感します。人口ピラミッドはすでにピラミッドというべきカタチではなく、壺だとしても上が大きすぎるバランスの悪さになっています。果たして、5年後、10年後、、、私が後期高齢者になる約30年後はどうなっているのでしょうか。
今年度、毎週大学で「社会保障論」を教えているのですが、学生のみなさんと毎週、最近のニューストピックスや、社会保障の特に財政の仕組みなどを見ると、だんだんと、教室の空気がどんよりとしてきます。私たちの生活を、安心に安全に維持するためにある社会保障制度について知り、今後の日本をどのような暮らしができる場所にするかを考えるために、どのような社会保障制度をつくり維持するかを考えるのは大切なことです。しかし、知れば知るほど、学べば学ぶほど、人口構成の変化がもたらす影響は大きく感じます。
そんなどんよりした授業のなかで、とある有名人のTwitterでの提言をきっかけに、学生の皆さんに「子育てしにくいと思った・推測した事柄」を尋ねました。もちろん、ほとんどの学生さんは親としての子育ての経験はないはずです。しかし、多様な視点で「子育てしにくいだろうなと思った」という話を聞かせてくれました。
一例をあげると
・泣いている子どもに周囲の視線が冷たい
・大学などの学費が高い
・保育園に待機があって待たなければならない
・病気の子どもを預かってもらえない
・仕事と育児の両立がむずかしそう
子育て経験ありの集団でよく挙がりそうな話題が、学生の間からも聞かれたことは興味深く、よく見ていること、よく情報を掴んでいることに感心しました。同時に、次々と「子育てが大変そうなこと」が、子育て未経験世代から出てくるという点に、やはり、今の世の中の“何か”を変え、新しいバランスを見つけなければならないのだろうと思いました。
7月には参院選があり、大学で学ぶ学生のみなさんも選挙権をもっているわけですが、どのように投票し、政治に参加し、日本の未来を作ろうとするのか、関心のあるところです。もっとも、まず、低い投票率をなんとかしなければならない、という課題があげられるのですが。
学び、考えるのは、私たちの未来をより良く、幸せに生きていける社会を作るためであろうと思います。現実を知ること、課題を見出すこと、解決策を考えること。どのようなことを「幸せ」と呼ぶのかは、人それぞれだと思いますが、データを知り、情報を得て、考えていくことは、より良い将来を築く第一歩。そんな風に考えながら、来週も、学生の皆さんと日本の社会保障と未来について一緒に考えようとおもいます。
それにしても、人口ピラミッドがピラミッドだった頃は、遠い昔。我に返ると、自分の生きてきた年数と時代の変化をひしひしと感じる、今日この頃です。蒸し暑い日が続きますが、体調管理に気を付けて暮らしていきましょう。