前々回の記事でも学校教員不足の問題を取り上げました。「担任の先生が決まらない」などの問題が表面化する年度始めであるためか、関連するニュースや研究者による記者会見がいくつもありました。
1週間にこのレベルの会見2回あったのほんとに異常事態では…#教師のバトン pic.twitter.com/PxYTTvwia4
— じんぺー☂️Jimpei Hitsuwari (@hitsuwari5th) May 13, 2022
非正規ではなく正規雇用をすること、教員の数を増やしてひとりあたりの業務が減るようにすることなど、待ったなしで取り組まないといけない状況だと思います。他方で、こんなニュースも出てきました。教員採用試験を前倒すことで、いわゆる「青田買い」をしようという案に意気込みが示されたそうです。
お金だけは絶対にかけない!という強い意気込みが感じられるニュースだこと。そこじゃないだろ
教員採用試験の早期化に意欲 文科相「時代に追い付いていない」 https://t.co/QbRdR3eKCb @教育新聞から
— サンソン@レクで学級をHappyに (@oakleyfreak1) May 10, 2022
実は文科省の中央教育審議会で、教育実習の制度を大幅変更する案が議論されています。こちらのページの上から2つめの資料に概略があります。
教育実習は教員免許状の取得をめざす学生が、2週間程度にわたって学校で実習をするというものです。どなたも子どもの頃、実習に来ている若い先生の授業を受けたりした経験があると思います。
大学入学時に将来は教師になろうと思っていた学生の中には、当然のことながら「自分は教師に向いていない」と自覚して進路変更をする人たちがいます。学生が進路変更を決断するのは、教育実習の後が多いのです(実習後に「ぜひ教師になろう」と決意しなおす場合も少なくないのですが)。なお上記の資料では、実習後の学生たちの心の動きには特に触れておらず、それよりも「民間企業の就職活動と教育実習が両立できないから、教員免許状取得をやめてしまう学生がいる」ことが注目されています。
つまり、「教員になってくれる大学生が少ないのは、教育実習のせいだ」ということで、教育実習の軽量化や柔軟化のようなことが提案されているように読めます。現在でも学生たちは教育実習以外にも、学校にボランティアに行ったり、体験を伴う学習をしに行ったりしているので、そちらを活用できないかという考えのようです。
しかし本当に、それで大丈夫なのでしょうか?
教育実習は教員養成の最も大事なプロセスだと思います。教育実習の準備段階であきらめたり、実習後に教員にならないと決める学生は、それぞれが自分自身をしっかりと見つめて、「自分は教師に向いていない」と判断したわけです。そういう機会を少なくしたり、無くしたりしてしまって、仮に教員免許状取得者が増えたとして、それは本当に良いことなのでしょうか?
教員不足も心配ですが、教育実習がどうなっていってしまうのかも心配です。
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