「成年後見制度」ってむずかしい・・・!?!?

先日、相談支援専門員等の障害福祉サービスの支援者の方対象の、金銭管理と成年後見制度に関するパネルディスカッションのコーディネーターをさせていただく機会がありました。

「成年後見」「家庭裁判所」「審判」「成年後見人」「保佐人」「補助人」「利益相反」「成年後見監督人」「開始の申し立て」「代理権付与の申立て」「許可の申立て」「報酬付与」「財産目録」「身上監護」…成年後見制度の中で、当たり前のように出てくる言葉を並べてみると、なかなか堅苦しい単語ばかりです。福祉専門職にとっても、ハードルが高いと感じるこの制度。どのように考えるとよいのでしょうか。

 

私は、日ごろは成年後見人等として、成年被後見人・被保佐人・被補助人の生活のさまざまな場面において「財産管理」と「身上監護」を行っています。成年後見制度のイメージは「財産管理」という印象が強く、しばしば『私には財産がないから、後見人なんて必要ない』という話になるのですが、実際は財産が少ない(または、まったくない)方にも、成年後見制度は活用されています。

その理由は、①財産や収入に限りがあるからこそ、細やかな金銭管理が必要だが、認知症等により管理が難しくなられたときに、変わって金銭・財産管理をすることが必要。②成年後見制度は単に財産の管理だけでなく、契約の取り消しや、入院や施設入所の契約の締結、福祉サービス利用の手配と契約などの「身上監護」が必要、という2点があるからです。

 

特に②は、ご本人の判断力が低下した状態でも、権利を侵害されることなく、自分の権利を守り、尊厳を守られ安心して自分らしく生きていくために大切です。財産の活用は、そのような生活を実現するための手段でもあるので、実際のところは成年後見人等の存在意義が発揮できるのは、「身上監護」あってこそではないかと、私は思います。

 

先日の研修会は障害福祉の専門職が集う場であったこともあり、話題は福祉サービスについても及びました。現在の制度では、65歳になると障害福祉サービスは原則的には介護保険サービスに切り替わり、介護保険では同様なサービスがない場合には障害福祉サービスが利用できる、という状況です。その変わり目では、サービス計画を立てる人が相談支援専門員からケアマネジャーに代わり、毎日のように通っていた就労継続・移行支援事業所から、介護保険のデイサービスを使うことになり、いける頻度が少なくなることもありあます。パネルディスカッションの質疑応答では、その制度移行期について質問がありました。

成年後見人等が付くメリットは、単に契約などの事務処理がスムーズに進むだけでなく、移行期で大勢の支援者が入れ替わる一方、成年後見人等は同じ人が長期にわたってつくため、変化せずに意思疎通ができる存在になることができることも、挙げられるとおもいます。

 

成年後見制度という言葉の難しい印象や、説明に使われるなじみのない専門用語、家庭裁判所での手続きなど、近寄りがたい印象を受けがちな成年後見制度ですが、成年後見人も本人を支援する支援者の一人です。福祉や介護は、家族やご近所さんとさまざまな医療や介護の専門職がチームとなって、ご本人を支えていきますが、もし、財産管理や、財産や契約等のトラブル、サービス利用や施設利用の手続きや各種手配・対応などができる支援者がいればいいのになぁ、そういう人が必要だろうなぁ、と思ったら、ぜひ地域の窓口(成年後見センター、地域包括支援センター、障害者機関相談センター、法テラス、家庭裁判所)に気軽に問合せをしていただきたいと思います。弁護士会や司法書士会、社会福祉士会などの成年後見制度に関する取り組みを行う専門職団体でも、相談を受け付けています。

 

説明する側が「難しくないんです!」と言っても、なかなか実際は納得しにくいものですね。しかし、成年後見制度は、必要な人にとっては大切な、権利をまもる役割の支援者を得るための制度です。パネルディスカッションでは、取り組みの中で、「身上監護」のために成年後見人等だけでなく、さまざまな関係者が本人を交えて悩み、考え、意思決定支援を行う様子が聞き取れました。私も、日々、迷いながらなやみながら「これでどうでしょうかねぇ?」と尋ねながら、後見業務を行っています。

 

成年後見制度を理解することは難しいけれど、現代社会で生活するにあたって、『判断力が低下した方への、その部分をサポートする支援が必要』というのは理解しやすいと思います。
そのサポートをする方法の選択肢の一つが、成年後見人や補助人、保佐人です。

そして、成年後見人の身上監護の仕事は、日々迷い悩みが多く、『難しい!』と私は感じています。でも、その難しさは、人の多様な生活へ多様な支援が存在するからだと思います。必要な難しさです。

 

これから、成年後見制度はますます普及啓発が行われます。そして、より身近な制度となるでしょう。少しでも早く、必要な人のもとへこの制度が届けられ、必要な人に活用していただけると良いと思います。

また、時代に合わせて、さまざまな財産等の管理の方法も登場しています。今の心配事や、これから予測される心配事に対して、その人にとって良い方法で暮らしが守られる世の中になりますように!

 

真っ赤な果肉に、不規則にたくさん散りばめられた黒い点々。それはきっと種。写真のようにカットしていると、植物だとわかるのですが、実の部分だけカットされて出てくると、初めてみたら「なんだこれは!?」とびっくり。初めて見た時は衝撃的でした。ドラゴンフルーツ(またの名をピタヤ)です。写真はレッドですが、ホワイトもあります。昔はあまり目にしなかったフルーツが、最近では街中のスーパーでもよく見かけられるようになりました。コロナ禍で海外への渡航はまだしばらく不便が続きそうですが、発達した物流やメディアのおかげで日本にいながら、外国の食べ物や情報を手にすることができます。ありがたいことです。

 


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兵庫県在住。「福祉×ICTで、毎日を安心安全に、心豊かに。あなたに寄り添う相談援助」をモットーに『森のすず社会福祉士事務所』開業。成年後見等による高齢者・障害者支援、認知症の方と家族の支援ならびに防災と福祉の地域啓発活動、スクールソーシャルワーカー、各種研修講師などの活動に取り組んでいる。2022年から同志社大学社会学研究科の後期課程博士課程院生。カレーと豆好き。犬大好き。社会福祉士、公認心理師、防災士。介護支援専門員。第1種大型自動車免許、2級FP技能士、第2級アマチュア無線技士。