「多様性」がアカデミー賞のノミネート要件にーさて日本は?

菅内閣の顔ぶれにまたしても女性が少ないということが話題になっていますが(それ以前に総裁選に結局女性議員は立候補できなかったということもありましたが)、少し前にアメリカのアカデミー賞の作品賞に「多様性条件」が設置されるというニュースがありました。


女性、人種・民族的マイノリティー、性的マイノリティー、障害者などを、次の4項目のうち少なくとも2項目で、少数派を起用したり反映させたりすることを作品賞のノミネート要件としました。
①スクリーン上の表現とストーリー展開。特に、主演、あるいは主要な助演の俳優に人種・民族的マイノリティーを起用すること
②製作陣のリーダー、部門ごとのリーダースタッフの構成
③有給の見習い、インターンシップ、研修生
④広報からマーケティング、流通に至る、顧客と関わる部門
ネット上ではこのニュースに対して、「アジア人しか出てこない日本の映画はどうなるんだ!」という反発なども見られますが、それは違います。


上述の4項目を見るとわかるように、規準はかなり緩やかなものです。また、アカデミー賞はアメリカのものですから、多数派とは主に白人の男性を指します。アジア系は少数派ですので、「日本映画はほとんど却下される」というのは間違いです。
映画にせよ文学にせよ、作っている人はあまり意識していないのかもしれませんが、多数派の世界観を押し付けたり、少数派の存在を無視したりするものになりがちです。そしてそういう作品が普及することで、少数派の人たちが嫌な思いをすることも少なくありません。
トランスジェンダーの方々を映画がどのように描いてきたのかに関する動画がこちらにありました。


文学についても、黒人や女性などマイノリティが排除されていることを問題として指摘する声があります。


さて、日本ではどうでしょうか。
日本は多様性への取組は非常に遅れていて、ジェンダーギャップ指数による男女平等の達成率の順位は、2020年度で153か国中121位です。


確かに、「コロナ後の世界」を考える特集の執筆陣が男性ばかりだったり…。


2年前の記事ですが、経団連もすごいですね。大学も含めて教育への要望(介入)もさかんにしてくる団体であることを考えると、正直嫌になります。


メディアも。


ちょっと違いますが、こんなものもありました。


米国などでは、「男女平等」が言われた後に、「白人女性だけの男女平等ではだめだ」とアフリカ系女性も含めた運動に広がったり、性的マイノリティなども含めるようになったりという展開があるのですが、日本はまだ入り口に立ててすらいないような状態かもしれません。
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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