「突然学校が休みになって、障害のある子どもとその家族はどう生きているのだろう」
子どもにとって、学校は生活の土台です。「学習の遅れ」のことばかりが取りざたされていますが、学校が3か月も休みになったということは、生活の土台を3か月も失ったということです。とくに、障害のある子どもにとって、学校にある福祉的機能が生活の支えにもなります。「もう何年もまともに寝ていません。」と子どもが学校に行っている間だけ、介護から解放されて体を休ませていたお母さん。学校で存分に体を動かすことで、元気を発散し夜はぐっすり眠れていた子どもたち。
国の方針は「学校は休校するけど、障害児の通う放課後デイサービスは開所」というものでした。学校が閉まった穴は、放課後に開所していた放課後デイサービスを丸一日開所して埋めるというものでした。放課後等デイサービスのほとんどは、民間事業者が賃貸で場所をかりて実施しています。もちろんグランドなどなく、狭い場所がほとんどです。広い学校を閉めて、狭い放課後等デイサービスに子どもを押し込めるのは、感染予防を徹底するという観点からは矛盾しています。学校に比べて、狭い場所、脆弱な職員配置、給食もない。そんな場所に障害のある子どもたちは押し込められてしまいました。もちろん、放課後等デイサービスの職員さんたちは、そんな中でも必死で活動をつくり、少しでも子どもたちが楽しい毎日を過ごせるようにと頑張っておられました。
6月に入り、学校が始まった時、大津市障害者自立支援協議会では、学齢期の障害のある子どもの家族向けにアンケートを実施しました。
障害のある子どもたちと家族が、学校休校期間、どのように過ごしていたのかを知り、第2波、3波に備えるためのアンケートです。
なんと、270件も回答が寄せられました!これは驚く反応です。大津市の学齢期の障害児の手帳を持っている子どもは900人程度。そこから考えると1/3くらいの人が回答されたことになります。「不安を誰に相談したらいいのかわからなかったから、アンケートに書くことが出来てありがたかった」等の声もいただきました。
アンケートから一番長い時間を過ごしたのは自宅であり、67.4%の回答でした。みんなが放課後等デイサービスを使っているわけではありません。福祉サービスを使ったことがない人もいました。障害ゆえにマスクをするなどの感染予防行動がとれないことから、人の目が気になり外に出れず、「ひとけのない河川敷などで親子で過ごしていたと」いう回答もありました。
また、2番目に長い時間を過ごしたのは、放課後等デイサービスで、家族からは「感染予防に気を付けながら開所してくれて感謝しかない」などの声がありました。しかし、コロナに感染することが怖くて、放課後等デイサービスも一切使わず、家の中で親子こもりきりで過ごしたという回答もありました。
学校から出される「課題」については、「教育の素人である親が、障害のある子どもに勉強を教えるなんて無理だ。」というような声もあり、課題より「どんなふうに過ごしたらいいか助言やアドバイスが欲しかった。」という声もありました。
他、アンケートでは家族の体調の変化や、子どもの変化などを聞く項目もあります。一度目を通していただいて、コロナの中での障害のある子どもと家族の姿を感じてもらえたらと思います。