ソーシャルワーカーとは何なのか?と、時々自問自答するのですが、みなさんはソーシャルワーカーってどんなことをする人か、ご存知ですか?私は普段「社会福祉士」を名乗って仕事をしています。社会福祉士はソーシャルワーカーの日本語訳ですが、正直なところ、いまいちピンときません。社会福祉士が何をする専門職種なのか、漠然としていますが、それをカタカナにしてしまうと、より一層漠然としているような気がして、仕方がないのです。
・・・という話を今日はしたいのではなくて、そういう漠然としてまとまらない考えにピッタリな、記録法についてのお話です。
最近、あちらこちらで取り入れているので、聞かれたことがあるかもしれません。『グラフィックレコーディング』です。略して『グラレコ』と呼ばれることもあります。要は、絵や図を用いて、板書や記録を行うことをいうのですが、みなさんは普段、何かを記録するときにどのように記録していますか?
一般的には、文字を用いて記録することが多いと思います。義務教育の時代から、板書と言えば基本的には文字がメイン。矢印や、吹き出しで示すこともありましたが、文字が基本です。絵を描くとすれば、理科の授業や、美術の授業の板書・・・しかしこれらは、要点を絵でまとめているのではなくて、例えば地球・太陽・月の位置関係と見え方の説明とか、遠近法の描き方とか、伝えたいものそのものの説明のために絵や写真を用いています。グラレコはそうではなく、誰かが話をしていること、何かの本に書いてあることなどの、文字や言語での情報を、絵や図式化で示していくというものです。
人の認知機能には個性がありますが、文字を読むのが苦手な人、絵で見てパッと感じたほうが入って来やすい人にとっては、この絵を用いる手段はある種バリアフリーな情報伝達手段であると思います。普段私は理解力や判断力が低下した状態の方を支援することがありますが、喋るだけでは理解が難しいだろうと思う場合には、文字に書いたり、絵で描いたり、図にしてみることがあります。文字以外のものを取り入れることによって、認知機能の状態も幅広く、年齢も幅広く、場合によっては母語や理解できる言語なども超えて理解しあえる可能性がでてきます。
私自身、絵を描くのは嫌いではないですが、うまいかと言われると「微妙」だと思います。ですが、それなりに書いていくと、それっぽくかけるものです。上手に書く人にコツをきいてみると「線と丸と三角が描けたらかける」などと言われます。
そういえば、ソーシャルワーカーとは何かという話ですが、その専門性の一つに「つなぐ」ということがあります。人間には、文字で理解する人もいれば、絵で理解する人もいて、頭の中は人それぞれ様々な状態で物事を理解しているように思います。通じたり通じなかったり、誤解があったり理解不足があったり、人と人とが接すると、そこにいろんな状態が生じます。それでも、それなりに人は人とともに協力して生きていく必要があるわけですが、意思疎通や共通理解をはかるとき、例えばこのグラレコは、文字を見て理解する人も、絵柄をみて理解する人も、どちらにもある程度の伝えたいことは伝わるんじゃないかなと思います。
そう思と、ソーシャルワーカーにとってグラレコは使いやすいツールのように思います。そして、もちろん、「つながる/つなげる」ということは、ソーシャルワーカーだけのものではありません。私たちの誰でもが、誰かとつながり、誰かを繋いで日々の生活を送っているんだと思います。描いて表現する技術は、誰にとっても使えると、日々の暮らしに広がりがもたらされるもの。
色々なものや人を繋ぐための、グラフィックレコーディング。みなさんも、まずはお使いの手帳の片隅、ノートの片隅に、自分の思いや考えを、文字に加えて絵にしてみることを始めてみませんか?きっと、アナタと夢や希望が、繋がっていくお手伝いになるのではないかとおもいます。