福祉と防災~発災時、福祉職は駆けつけられません~

7月に入り今年も後半が始まりました。先月、梅雨になかなか入らないと思っていましたが、九州では梅雨になった途端の「災害級」大雨。昨年も同じ時期に中国地方で豪雨災害が起こり多くの方が犠牲となられました。雨がおさまり、また、危険がある間は避難が適切に行われ、犠牲となる方が出ないようにと祈るばかりです。

前回(6月21日)にも少し書きましたが、私は主に兵庫県内で社会福祉士として仕事をしていて、今年は防災・減災についての取り組みに関わる機会が増えています。これまで、福祉業界での防災というと、「施設の避難訓練を実施する、夜間想定訓練もやってみる」というイメージ程度ではなかったかと思います。しかし、「地域包括ケアシステム」の構築と推進や、病院を出て地域で暮らす「地域移行」が勧められると、高齢者や障害者の在宅生活での災害への対応を考えることは当然必要です。

しかし、よくよく自分の生活を振り返ってみると、福祉職として防災・減災を学ぶ機会はなく、少し前までは、なんとなくニュース等で得た知識しかもっていない状態でした。おそらく多くの、介護や支援に関わる福祉職は似たようなものだと思います。「ケアマネが、何かあったら私が駆けつけるから安心して、と約束する」という話は、何度か聞いたことがあります。もちろん、その「何か」が災害であれば、身体がいくつあっても駆けつけるには足りず、そもそも自身も被災している可能性もあるということは、徐々にでも理解されていると思いたいところですが・・・。基本的に、災害がおこったとき、利用者全員の元へ福祉職は駆けつけられないものです。

いずれにしても、「知る」ということと「想定してやってみる」ということは、大切なことだと感じます。福祉職が、いざという時には自分は駆けつけられないであろうことを知り想像することは大切です。同時に、利用者も、災害などのときにも福祉職が駆けつけてくれる、というのは無理だろうと知ることも大切です。そして、そこから、どうすればいいのか、考え、想定して、実際に準備をしたり、訓練やリハーサルをしたりすることが大切です。

みなさんのお住まいの地域で、避難訓練や防災訓練が開催されているかもしれませんが、みんなが参加できているでしょうか?車椅子の方、杖歩行の方、視力障害や聴覚障害のある方、小さな子ども連れの方、知的障害や発達障害のある子どもたちなど、普段は介護や福祉的支援サービスを中心に生活を切り盛りされていても、災害時には状況は異なります。

やってみると、課題がみえてくるもの、そして、みんなの力と知恵を合わせれば、思っているよりできることがわかる場合も多いです。

これから、台風シーズンとなり、豪雨や土砂災害のリスクが続く季節です。ご近所さん同士、洪水のときの避難所、地震の時の避難所を確認するとともに、「何か備えてる?どうしてる?」と世間話を延長させてみてはいかがでしょうか。

最後に「災害に備えて、日ごろからやっておきたいこと3つ

  • 自家用車での避難は、状況によってはしない方がいい場合もありますが、時にはとても役立ちます。日ごろから、ガソリンの残量を確認し、早めに給油しておきましょう。
  • 電車やバスに乗っている間に地震等が起ると、電車は長時間停止します。その時に一番困るのは、お手洗い。トイレはいつでも早めに、乗る前に行く!を習慣にしておきましょう。
  • これから暑くなり水分補給も大事です。日ごろから飲み物は持ち歩きましょう。暑い中で立ち往生したとき、飲み物が手元にあると少し安心です。

 

国立障害者リハビリテーションセンター研究所開発の「自分でつくる安心防災帳」。(http://www.rehab.go.jp/ri/kaihatsu/suzurikawa/skit_02.html)シールを貼って、今の備えと足りない備えとその対策が考えられるので、楽しくしっかり確認、準備ができます。

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兵庫県在住。「福祉×ICTで、毎日を安心安全に、心豊かに。あなたに寄り添う相談援助」をモットーに『森のすず社会福祉士事務所』開業。成年後見等による高齢者・障害者支援、認知症の方と家族の支援ならびに防災と福祉の地域啓発活動、スクールソーシャルワーカー、各種研修講師などの活動に取り組んでいる。2022年から同志社大学社会学研究科の後期課程博士課程院生。カレーと豆好き。犬大好き。社会福祉士、公認心理師、防災士。介護支援専門員。第1種大型自動車免許、2級FP技能士、第2級アマチュア無線技士。