5月最終日となりました。にぎやかに華やかに始まった令和時代は、この1か月を自然に目を向け振り返ると、地震に猛暑と、生活や生命を脅かす出来事がありました。猛暑はまだまだこれから、地震もハイリスクな状態が続いています。その時々で必要な命を守る行動を行っていきたいものです。
さて、私は兵庫県の播磨地方で暮らし、子どものころからお城と言えば姫路城です。世界遺産になったり、真っ白に塗り替えられたり、そのたびに国内外から姫路城を見に来られる方は増えているように感じます。
ところで、もしある日突然災害が起こり、避難をしたり、避難先で生活することが必要になった場合、どのような心配があるでしょうか?避難が必要な状況では、どんな人でも不安はありますが、特に避難行動がとりにくい状況の場合は、より大きな不安となるでしょう。動けなかったり、歩けないと避難自体が難しくなりますが、聞こえなかったり、見えなかったりする場合も情報がつかみにくく、適切な判断がしにくくなる可能性があります。また、身体機能は大丈夫であっても、日本語が分かりにくいなど、避難指示の意味を理解できにくい場合も、逃げ遅れる可能性があります。
今では日本中あちこちに、外国にルーツをもつ方が住んでいて、中には日本語が使いこなせない方もいらっしゃいます。でも、必要な時には、コミュニケーションをなんとかとって、伝えなければならない場合もあるでしょう。そんな時に、役立つ「ことば」があります。
それが、「やさしい日本語」です。
私は以前「やさしい日本語」で日本語を教えるための研修を受けました。それまで、「やさしい日本語」というものがあることを知らなかったのですが、皆さんはいかがでしょう?実はこれは阪神・淡路大震災で外国人の方が適切に情報を受け取れなかったことから、生み出された言葉です。
よく考えてみると、日本人は外国語というと英語を思い浮かべ「ハロー」という挨拶ならできそうですが、日本に住む外国人のうち、英語を使う方は少ないです。私も語学をかじるのは好きですが、日本在住の外国人の方が使う言語を見てみると、挨拶すら知らない言語はたくさんあります。その場に居合わせた外国人の母語で、緊急時のコミュニケーションをしようとするのはかなり難しいものです。
でも、「やさしい日本語」なら、日本語なので、母語を日本語とする人はちょっとコツを掴めば使えるようになるそうです。ここではすべてを紹介するのは難しいので、私が覚えて実際に意識して使っているコツを3つ挙げます。
① カタカナ英語はつかわない。
② 漢字には、読み仮名をつけること。
③ 敬語や謙譲語、難しい言葉は使わず、簡単な言葉を使う。
技術面ではいろいろとあるようですが、一番大事なのは、伝えたい!という気持ちかな、と思います。そして、もし、災害が起ったら、「伝えなければ!」という気持ちが起こるでしょう。その時に、伝わらないくやしさではなく、伝わる安心感のために、意識していきたいものです。
「やさしい日本語」は、外国人だけでなく、子どもや高齢者にもわかりやすいもの。ちょっとした気遣いや心がけが、みんなの安心安全な暮らしづくりにつながっていきますね。