高齢期の暮らしと住まい(52)

高齢者は本当に皆元気で活躍できるのか

国は、「元気な高齢者に活躍してもらおう」ということを盛んに発するようになりました。「世代間負担の公平性」という言葉もよく聞きます。しかし、概念誘導されないように気をつけないといけません。高齢者は当然ながら皆が元気なわけではありません。確かに前期高齢者(65~74歳)は介護認定率も低く、元気な人が「多い」ながら、誰もが元気ではありません。さらに75歳以降は一気に要介護者が増えます。社会保障コストの負担と享受は、人の一生(ライフサイクル)では、乳幼児期と高齢期に「受ける方」が多くなり、その分現役世代に「受けずにコスト負担」が多くなります。世代間の戦いではなく、あくまでも「自分の一生」全体で考える必要があり、世代間の分裂にしてはいけません。多くの人が時間経過とともに同じなのです。

 

高齢期は2割引きで考える

一方で、「自分は元気」と思い込んでいる高齢者も多いです。90歳を超えても「老後のために」と貯金や勉強を続ける方も。もちろんそれは良いことですが、自分の状態を見誤るといけません。先般、高齢者が多いバスツアーに参加しました。100分の自由時間後、集合時間になっても2組4名が戻ってきません。1組は60分程の歩きコースの途中「歩けなくなった」。もう1組は「違う道に行ってしまい、戻れなくなった」。ツアー規定で出発時間後20分が待つ限度だそうで、1組はなんとかギリギリ戻れたのですが、もう1組は戻れませでした(だいぶ遅れてタクシーで追いつく羽目に)。身体だけでなく、「理解力」「判断力」も自分で思っている以上に衰えています。自分が思うより2割引き程しておいたほうが無難かな、と感じます。

 

過信し過ぎてはいけない、煽りすぎてはいけない

上記のように、高齢期の生活や心身状態は、「過信しすぎてはいけない」のですが、逆に回りが「煽りすぎてもいけない」。自分や家族が「マイペース」をしっかり認識して、過ごすことが大切だと感じます。さらに、時間経過とともに確実に衰えます。残念ですが人間の宿命。1年前にできたことが、できなくなっていることは自然の流れ。無理をせず「いまできること」を楽しめるようにしたいですね。

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山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。2016年独立。