高齢期の暮らしと住まい(29)

災害と高齢期の暮らし

先日、大阪北部を震源とする地震がありました。高槻市周辺は震度6弱、京都市内も震度5強と、震度だけ見れば阪神淡路大震災と変わらないものでした。建物の損壊や負傷した人も多く、まさかの自然災害の怖さをあらためて感じた方も多かったと思います。今回も避難所で過ごしている方がおられましたが、若くて体力のある人でさえ長引くと心身ともにつらくなる環境は、高齢者にとっては相当なストレスと疲労をともなうことが想像に難くないでしょう。一時的な避難のあとに、「生活」を確保できる親戚や知人宅など、従来の人間関係から築けておけるといいですね。それとともに、耐震化対策ができていない家は、しっかりと対応しておきたいものです。

 

震災時の老人ホーム

一般的に、老人ホーム等の施設は災害緊急時に備え「入居者数+最大職員数」の食糧を、最低3日、できれば1週間備蓄しておかねばなりません。もちろん、毛布や救急医薬品なども含めてです。さらに、自家発電を持っているところも多く、通常通りの電力確保が無理でも最低限の電気の利用が可能な状況です。何よりも、職員が誘導してくれる点で一般住戸より安心感があるでしょう。とはいえ、過去には老人施設でも津波や水害で大きな被害もありました。一概に施設が安心とはいえませんが、行政指導で「備え」が確保されていることはメリットかもしれません。

 

町内や学区の防災訓練

年に1度は、どこの行政区でも住民の防災訓練をしていると思います。面倒がらずに、参加しておくことをお勧めします。一般的に町内会ごとに名簿チェックをし、避難先の指示、食料などの配給を行ってくれることを前提に訓練をします。実際に自分の住む地域は、どこが緊急避難所なのかを確認できるだけでも意義があります。消防署の方などが訓練で指導もしてくれ、さまざまな知識も得られますし、町内会の人々と顔見知りにもなれます。もともと地元に住んでいる人はまだしも、新しく引っ越してきた人などは特に、安否確認が難しくなります。今後水害も心配されるシーズン、備えあれば憂いなし、です。

———————————————————————
山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。2016年独立。

 


Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/canaria-club/www/wp-content/themes/mh-magazine-lite/content-single.php on line 21

Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/canaria-club/www/wp-content/themes/mh-magazine-lite/content-single.php on line 30