ピエール瀧さんが麻薬取締法違反で起訴されました。また所属事務所はマネージメント契約を解除したそうです。
ピエールさんが逮捕された先月から、この事件については多くの報道がありました。コカインの使用自体はすべきものではありませんが、日本の社会には薬物依存症についての誤解が多く、報道も非常非不適切であることが専門家の間では広く指摘されています。今回の件についても同様です。
ピエール瀧「薬物問題」の一考察〜日本は世界から10年遅れている… https://t.co/LZTYaWrLKh #現代ビジネス
「日本が薬物使用者を吊し上げて社会的な制裁を加え続け治療や福祉の拡充をせず、ただ単に刑務所に放り込むだけで社会から排除するような対処を続けるのであれば、それは国連決議違反である」
— 国公一般 (@kokkoippan) March 16, 2019
薬物依存が罰では治癒しないことはだいぶ前から知られています。
【シノドス】薬物依存症は罰では治らない「このなかで、これまで覚せい剤のことで、親、兄弟、友人、恋人、親分、兄貴といった人たちから、『ヤキ』を入れられたことのある人、手を挙げてください」松本俊彦 https://t.co/gZC6qcLUTs #ss954 #synodos
— 河村書店 (@consaba) February 3, 2016
以前に比べても報道の方よりや世間の反応が良くない意味で先鋭化しているのではないかという趣旨の指摘もあります。
「回復を応援できる社会を」
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それ以外の一般の方たちは、このことを静かに見守ってほしいと思います。バッシングではなく。応援してほしいのです。人は間違いを犯すことはいくらだってある。それでも再チャレンジできる社会をみんなで作っていきたいと思うんです。
— 小澤いぶき@NPO法人PIECES (@IbukiOzawa) March 15, 2019
薬物依存に関する報道については、2016年7月に依存症の治療・回復の関係団体と専門家が「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」を結成してガイドラインを作っています。残念ながら今回も、このガイドラインはあまり顧みられなかったようです。
ずっとは見てられないので休みます。全録チェック、目処が立ちそうです。放送各局の皆様、医療者・当事者・家族会と作った「薬物報道ガイドライン」を是非、一読してください。午後からでもいいので、放送に反映してください。https://t.co/Hw0FdHAKhE
— 荻上チキ (@torakare) March 13, 2019
確かに違法薬物は使用すべきではありませんし、危険なものでもあります。他方で一定程度はすでに蔓延しているものでもあります。このことは、「実は身近なところに依存症の人や依存症の家族などがいる」ということです。中学生の頃だったと思いますが、「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか」というテレビコマーシャルがあった記憶があります。薬物がどれほど恐ろしいものであるかについての学習もしました。けれど今になると思います。「親が薬物依存になってしまっている中学生が、このメッセージを聞いたらどう思うんだろう?」と。
ちょうどこの記事を書いていたら、ピエールさんが保釈されたとの報道を知りました。
社会内で生活が送れるようにサポートしていただきたいです。今後、違法薬物を取引した人間関係との接触を控え、本人を大事にしてくれる人たちと生きていってほしいです。仕事や関係性も剥奪するのではなく、ストレスに配慮しながら復帰の道筋を探ってほしいです。 https://t.co/vKDuxilow9
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) April 4, 2019
記事の中にある「ダルク」についての説明はこちらです。
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。