薬物依存症についての誤解と報道

ピエール瀧さんが麻薬取締法違反で起訴されました。また所属事務所はマネージメント契約を解除したそうです。


ピエールさんが逮捕された先月から、この事件については多くの報道がありました。コカインの使用自体はすべきものではありませんが、日本の社会には薬物依存症についての誤解が多く、報道も非常非不適切であることが専門家の間では広く指摘されています。今回の件についても同様です。


薬物依存が罰では治癒しないことはだいぶ前から知られています。


以前に比べても報道の方よりや世間の反応が良くない意味で先鋭化しているのではないかという趣旨の指摘もあります。


薬物依存に関する報道については、2016年7月に依存症の治療・回復の関係団体と専門家が「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」を結成してガイドラインを作っています。残念ながら今回も、このガイドラインはあまり顧みられなかったようです。


確かに違法薬物は使用すべきではありませんし、危険なものでもあります。他方で一定程度はすでに蔓延しているものでもあります。このことは、「実は身近なところに依存症の人や依存症の家族などがいる」ということです。中学生の頃だったと思いますが、「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか」というテレビコマーシャルがあった記憶があります。薬物がどれほど恐ろしいものであるかについての学習もしました。けれど今になると思います。「親が薬物依存になってしまっている中学生が、このメッセージを聞いたらどう思うんだろう?」と。
ちょうどこの記事を書いていたら、ピエールさんが保釈されたとの報道を知りました。


記事の中にある「ダルク」についての説明はこちらです。

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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。