「The New York Times Magazine」に掲載された実話をベースにしたヒューマンドラマ。
麻薬を運ぶ90歳の男に待ち受ける運命を描く。
監督と主演を務めるのは『ミリオンダラー・ベイビー』などのクリント・イーストウッド。
イーストウッド監督作『アメリカン・スナイパー』などのブラッドリー・クーパー、
『マトリックス』シリーズなどのローレンス・フィッシュバーンらが共演する。
《あらすじ》
90歳のアール・ストーン(クリント・イーストウッド)は、家族を二の次にして仕事一筋に生きてきたが、商売に失敗した果てに自宅を差し押さえられそうになる。そのとき彼は、車で荷物を運ぶだけの仕事を持ち掛けられる。それを引き受け、何の疑いも抱かずに積み荷を受け取っては運搬するアールだったが、荷物の中身は麻薬だった。
おテルの尊敬するクリント・イーストウッドが、「監督だけをやっていこうと、ここ何年も思ってきた。でもこの“グラン・トリノ”の頑固な元軍人役にはひかれたんだ」と語っていたのに、またまた、こんな作品を監督・主演しました。「ザ・ニューヨーク・タイムズ・マガジン」に掲載されていた実話を読んで、映画に撮ろうと心を動かされたというのです。
お話は、麻薬の運び屋となった男の物語ですが、ドンパチのアクションにあらず。時代から取り残される老人の悲哀や家族との軋轢といった普通の人々が共感できるエピソードが多い人間ドラマです。
主人公アールは無事故無違反の慎重なドライバーですが、人生の最後の最後で間違った道を選択。そんな彼の姿はまさに、我々が人生という地図でどの道を選ぶべきかというナビとなる。演じるのが「年寄りの冷や水」なんて言葉が当てはまらないC・イーストウッドなので、カルテルを向こうに回してのドンパチがあってもおかしくはないのですが、実話を優先して枯れた老人を円熟味豊かに演じている。彼もきっと最後の作品を誇りに思っているはず。でも、元気なイーストウッドのことですから、これが最後の作品になるとは、到底思えません。
★★90点★★