スズメには、斥候がいると聞いたことが有る。人の動きを探る偵察要員だ。群れが飛び去った後、一羽だけ近くの木の枝に留まる。それを斥候と言ったのだろう。勇気ある一羽なのか、あるいは人が去った後いち早く餌をついばみたい食いしん坊にちがいない。このあいだも私が、肥料の仕込み作業をしている間、付かず離れずいつものすずめが餌をついばんでいた。そこへ斥候と思しきスズメが飛び込んできたが、私と目が合うなり慌てて飛び出していった。餌をついばむもう一羽のすずめに気付いたかどうかは分からないが、もう二度と戻ってこなかった。やはり警戒心の無い特殊な一羽なのか、斥候がそれを見て仲間を引き連れ食事に加わる事も無く、いつものすずめが私が無害な人間であること教える様子も無い。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。