私事で恐縮ですが,息子が11月末から約2週間,「先天性真珠腫」という耳の病気の手術のため入院していました。
「耳の奥に生まれつき皮膚の塊があり,その塊自体は無害だが,成長とともにその塊が大きくなり耳の組織を壊し,聴こえに影響を及ぼす」と理解しています。治療としては手術で真珠腫をとるしかないと医師から言われたのが8月でした。7月の保育所の聴力検査で右耳の最高音域が聞こえないことで発覚しました。
手術の結果,取りきれる範囲の真珠腫は全部とり,CT検査で見えたとおりに,耳小骨2本(ツチ骨,キヌタ骨?)が壊れていたので(真珠腫が大きくなって壊した)その耳小骨もとったそうです。聴こえに一番重要な3番目の耳小骨(アブミ骨?)は壊れていなかったとのことで,それを聞いて安心のあまり一気に脱力しました。約半年後に,真珠腫のとり残しがないかと,壊れた耳小骨の代わりになるものを埋め込む手術をする予定ですが,とりあえずひとあんしんです。(ということで,右耳の高音が聞こえない原因であった耳小骨2本は,もともと壊れていたのが,壊れていたのを除去しただけなので聞こえないままですが,かなりの高音域なのでいまのところ日常に支障はほとんどありません)
小児病棟があいていたので小児病棟に入院しました。完全看護なので別に毎日病院に行かなくてもよかったのですが毎日行きました。「患者が子どもである」ということだけ共通で(大きい子でも小児科外来にかかっていれば小児病棟になることもあるそう),いろいろな患児さんを目の当たりにしました。点滴をつないでいる子ども,意思疎通の難しい子ども,一見普通に見える子ども,いつ入院でいつ退院かわからない子ども,勉強の遅れを病院で見てもらっている子ども,リハビリに励む子ども。そしてそれぞれの親御さん。ひとつひとつの出会いが私にとって宝物でした。
あるお母さんは「かわいそうねとか言われるけれど,うーん大変だけど…みたいな気分にはなる。かわいそうとか遠巻きに思われるくらいなら,ずばっと言ってほしい。こういう子がいることを知ってほしい」とおっしゃっていました。
大人でも入院するとストレスがかかり自由が制限されるのに,子どもだとなおのこと,入院中のストレス,好きなことを好きなようにできないことはつらいでしょう。息子も2週間の期限付き入院であっても「あぁ,やーっと,お外に出られた~!」「チョコレート食べられる」「きのこの山食べたい」「カレー食べたい」でした(短期入院+外科的措置も必要なので外出外泊なしでした。おやつの持ち込みも禁止でした。ついでにカレーは1度だけ昼食で出たのですが,卵アレルギーのせい?で息子だけ別メニューだったそうです)
入院中の子どものストレスをいやす研究も進んでいるようです。
小児病棟を有名人が慰問するのも,以前は「ふーん」と思いながら見ていましたが,今は必要なことだと思っています。これで心が温かくなる子ども,勇気づけられる子もいるのかなと。
退院約10日後に術後検診に行く予定です。術後の経過はおおむね順調。
今回は,息子にとっても私にとっても大きな経験になりました。病気にならないならならないのが一番いいのですが,なったらなったで,知らない世界から得るものがたくさんあるし,母子ともに心が成長することも知りました。
すべての子が心身ともに健やかに生きられますように。治りにくい病気の子どもは1日でも長く生きられますように。またそれをサポートする社会でありますように。