入国管理法の改正案が国会で議論されています。
— Junko Nishigaki (@JNishigaki) November 16, 2018
人出不足を懸念する産業界からの強い要請で、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた新たな在留資格を創設するというものです。この法改正案については、様々な批判も寄せられているところですが、本日は法改正案そのものの話ではなく、子どもたちの話を取り上げたいと思います。
安倍首相は「移民政策ではない」と主張し続けているようですが、日本はすでに移民大国だという指摘があります。
日本がいつのまにか「世界第4位の移民大国」になっていた件 https://t.co/7oVyWUVEQs #現代ビジネス
— Junko Nishigaki (@JNishigaki) November 16, 2018
そして実際のところ、多くの外国ルーツの子どもたちが日本で暮らしています。「外国ルーツの子ども」とは、両親のどちらかまたは両方が外国にルーツを持つ子どものことをさします。類似した表現に「移動する子ども」というのもあります。これは、両親の仕事の都合などで国境を越えて移動する子どものことで、外国ルーツの子どもと重なる場合もあります。
学校で働いている知り合いから聞いた話ですが、「(教育を受ける権利は日本国民のものなので)外国ルーツの子どもを学校に受け入れる必要はない」という誤解をしている人は、実際に教師の中にすらあるようです。しかしそれは誤解です。こちらに文部科学省が出している見解があります。
国際人権規約や子どもの権利条約を踏まえて、「義務教育に日本人児童生徒度同様に無償で受け入れること」「教科書の無償海部及び就学援助を含め、日本人と同一の教育を受ける権利を保障」するとされています。
教材集なども作られています。
ただ、子どもたちを受け入れる体制は脆弱です。特に外国の方が散在している地域では、理解も薄ければノウハウもないという状況があります。
そのような中、辛い思いをしている子どもたちは少なくありません。
— Junko Nishigaki (@JNishigaki) November 16, 2018
日本語が十分にできないため、勉強についていくのが難しかったり、学校でからかわれたり、いじめにあうこともあります。高校への進学率も低く、貧困の連鎖が心配されます。また日本での滞在期間が長くなると、母国語を忘れてしまい、親とコミュニケーションがとれなくなることもあります。かといって日本語も、(日常生活はできても)勉強したり働いたりするには不十分という状態になることもあります。
外国にルーツを持つ子どもたちには、日本語と母国語の両方を大事にしていく教育が必須なのですが、日本の学校にはそれを行える人材も予算も不足しています。日本語指導についての国としての政策がなく、自治体任せになっているために、地域格差は非常に深刻なものがあります。
さらに、こちらの記事も参考になると思います「『外国につながる子ども』とは 」
日本語指導についてもまとめた記事もあります。
※12月20日(木)に、「外国ルーツの子どもたち、国境を越えて移動する子どもたち(2)」を予定しております。
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。