ある事にのめり込んでしまうことを「はまる」と言うが、どちらかと言うと好きな事に夢中になっている様を想像するが、私は今、矛盾した思考の迷路にはまっている。農薬に頼らない農業を試行している間は、それにチャレンジし、課題を解決してゆくことがとても楽しかった。しかし、農を生業としていると新たな課題がまた出てくる。先日読んでいた本の中に「情緒的有機農業」と言う言葉が有った。「有機農業で育てた野菜が本当に美味しくて、安心・安全で、栄養価が高く環境への負荷が少ない!」と思い込んでしまっていないかと問うている。この疑問に素直に向き合い止揚したいが、そうた易くは無い。いつか「突き抜けた農業」に到達したい。迷路に立ちはだかる思考の壁は、壊せなくても消す事は出来る。出口近くまで来ているのかもしれない。
※京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。