特殊詐欺と狙われる高齢者
「高齢者が〇〇万円の詐欺に」がなくなりません。今まで「オレオレ詐欺」がテレビや新聞でも取り上げられ、世間で注目を浴びてもなくならない。なぜ詐欺にあってしまうのでしょうか。政府広報の「詐欺被害者の声」では、『なぜ皆だまされるのかしら、と話していたのに息子を名乗り助けを求める電話があると疑うことなくお金を渡した』とあります。他人事だと冷静に判断できるのに、自分事となったときに判断力が甘くなる様子がわかります。他にも『怪しいと思い確認したら「オレオレ詐欺じゃない」といわれ信じてしまった』『銀行窓口で「詐欺の可能性はないか」と何度も確認され、自分はそんなものにあうはずがない、失礼じゃないか、と怒って強引に振り込んだ』『ATMで振り込もうとして銀行員に何度も聞かれたが「旅行代金」とウソをついて振り込んでしまった』など、どこかに「自分が詐欺にあうはずがない」というヘンな自信があるようです。誰かに大丈夫か?といわれたら、そこで一度冷静になることが本当に重要ですね。
昔は押し売り、今は押し買い
かつては、怖い雰囲気の人が自宅に訪問して価値のないものを高価に売りつける押し売りが見られましたが、最近は「押し買い」、ようするに「高く買います」という触れ込みで自宅にある貴金属などを非常に安価に買い取る、もしくは後日振り込むなどといって振り込まれないということも発生しています。「もう使わないものだから」と、ついつい現金に換えたくなる心理もうまく突いている手段です。知らない人とお金のやり取りをしない、と決めておくことが大切です。
これから増える?オリンピック関連
2020年の東京オリンピックまであと2年。これから増えるだろうと言われているのが、オリンピック・パラリンピック詐欺です。「開会式の特別席の予約販売」「オリンピック・パラリンピック関連企業への投資」など、「ありえそうな」詐欺です。この場合、大手企業や大手新聞社を名乗るケースもあるようですが、本当かどうか身分証を確認したり、その場で購入せず、後にその連絡先に確認するなどの対策を講じたほうがよいでしょう。「まさか詐欺とは思わなかった」というのが「詐欺」です。最初からいかにも怪しいというより、もっともと思う内容だからこそ「詐欺」になります。昨今の震災や災害などの被災者を救うためのファンド投資もあります。東日本大震災の際には、被災地の高齢者用老人ホームを作るための投資ファンド詐欺、という内容もありました。すぐに信用しない、慌てない、誰か信用できる人に相談する、といったことを普段から意識しておきたいものですね。
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山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。2016年独立。