第7期(2018年4月~)介護保険料決定!
新しい「期」になり、制度もいろいろと改正される中で、高齢世代の注目は今年の「介護保険改正」と「医療改正」のいわゆる『W改正』です。京都市の介護保険料は、基準額79,200円(月額6,600円)となり、前期(2015年~2017年)より6,240円(月に520円)増額となりました。本人や世帯の年収に応じて、この基準額から減額・増額されますが、低所得の人からでも決して軽い負担ではない金額を徴収されるのが介護保険料の特徴です。もし払えないとなると、厳しい制裁があり、2015年には介護保険料滞納で全国で1万人以上の人が「差し押さえ」されました。改正の都度、利用の範囲が狭められ、一方で保険料の負担が重くなる、高齢者世帯の家計を直撃します。
介護保険料の仕組み
介護保険料はどうやって決まるのでしょうか。65歳以上と40~64歳で制度は異なります。自己負担分以外の介護保険財源は、国が25%(うち5%は調整交付金)、県と市町村の自治体が25%、残りの50%を65歳以上の第1号被保険者と40~64歳の第2号被保険者で、人口ボリュームや総所得によって配分が分かれます。40~64歳の人々は、収入に応じて保険料が決まりますが、65歳以上の人は、住んでいる市町村の財源により大きく異なります。前回では、一番高い保険料が奈良県天川村の8,686円、一番低い保険料が鹿児島県三島村の2800円と3.1倍もの差が開いています(全国平均は5,514円)。今回の全国データはまだ発表されていませんが、京都の隣の大阪市は基準額が95,124円で毎月7,927円と非常に高額です。厚労省は、2025年に全国平均が8,200円程度と予測していますが、それより早く8,000円台に到達するのではないか、と感じます。
ひとりひとりの意識も大切
高齢者人口はまだこれから増加します。このままではさらなる負担増は避けられません。少しでもその状態をよくするためには、ひとりひとりが健康自立を意識し、日々留意することがまず第1歩です。日本の介護保険制度は、諸外国に比べると手厚いほうです。たとえば、日本が参考にしたドイツの介護保険では、日本のレベルに合わせると要介護3程度からでないと介護サービスが利用できません。筆者が過去視察に訪れた北欧諸国やオランダなどでも、高齢層は簡単には介護サービスを利用せず、極力自分でなんとかしようとする姿勢が非常に強いと感じました。まずは、健康・自立をキープ、そして何でも依存しない自律も大切かと感じます(もちろん必要に応じてサービスを使う権利は確保されるべきです)。
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山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。2016年独立。