口から食べる幸せを守る

昨年秋、入院して食べることが難しくなった父は、胃瘻を勧められました。あくまで一時的な処置で、退院して食欲が戻り、栄養状態が改善したら胃瘻は中止出来るとのこと。迷ったけれど、長年地域医療に携わる知り合いのお医者さんにも相談して、胃瘻増設を決断しました。でも、食べることを諦めたくない・・・と思っていた時に偶然、小山珠美さんの「口から食べる幸せを守る」という本を知りました。読んでみると、気づくことがたくさんありました。例えば「本人の目線より下で食べ物をすくう」ことがとても大事。横や上からスプーンを入れると誤嚥しやすくなる為、介助者は下からスプーンを口に入れられる位置にいる様にします。「皆さんも食事をする際に、横や上から食べたりせず、下方からお箸やスプーンを口に入れていますよね」との説明に、なるほどと納得。でも、病院の看護師さんたちはみんな立って食べるものをすくい、上から口に入れてました。勿論、私も。また、患者の右側から介助する時は右手、左側から介助する時は左手でスプーンを持つ。左側から右手で介助すると患者が横を向いてしまい、誤嚥のリスクが高くなるそうです。実はこうした食事介助の専門知識を持つ医療者が少ないのが現状です。口から食べさせないでいる方が「口から食べる」よりも病院の収入が多くなる診療報酬上の問題、看護師が食べられると思っても医者が無理と判断したら食事介助の指示は出せない、医者以外からセカンドオピニオンを得ることが出来ない等の問題も。更には周囲の「挑む姿勢」と「食べさせられるだけのスキル」や「チーム力」が必要と著者の小山さん。
重症の脳梗塞で手足も口を動かすことも唾を飲み込むことも難しく、喉に穴を開けて気管カニューレという管からマスクで酸素を流していた男性にゼリーを作って食事介助を始め、試行錯誤を重ねるうちにどんどん回復してサンドイッチもお肉も食べられるようになったとか。医師が「寝たきりになる」と結論づけていたにも関わらず、退院時には歩いて帰れるまで回復したのだそう。「カナリアに聞く~浜田きよ子さん」の排泄ケアを改善したら人格まで変わったエピソードにも通じる奇跡のような話。でも「これは奇跡の物語ではなく、やるべきことをやったから。しかるべき手段を踏んで食事介助をしたから」だと小山さんは書いています。「医療現場の意識改革が必要なのは勿論だけど、患者や家族が現状を知り、行動を起こすことも重要です。何故なら自分自身を守るのは自分、大事な家族を守るのも自分だからです」と小山さん。こうした情報を、これからもお伝えしていきたいと考えています。(モモ母)

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