社会は、成熟して行くものだと思っていた。小さないざこざは有っても大きな戦争は、もう起こらないと思っていた。でも現実には、大きな戦争が起こり、人々の意見は対立を深め混沌として行く事に心を痛め不安が募る。無農薬の野菜作りも年々難しくなっている。春先にキノコバエの食害でほうれん草を沢山廃棄せざるをえなくなった事もショックだった。多少の病気や食害は常に有るが、これ程被害が大きくなるとは予想していなかった。実は、ちょっと弱気になっている。そんな時に高校時代の柔道部の顧問をされていた恩師の退職パーティーに出席した。怖い監督で部員たちは、「鬼」と呼んでいた。道場での稽古は、皆萎縮気味だった。２年生の秋、私は思い余って稽古をボイコットし自主的な稽古がしたいと先生に進言したことが有る。パーティーの隣席に座った友人が、「お前のこと、すごい奴やなと思った。」と40年振りに当時の思いを話してくれた。卒業後何度も会っているのにその話をするのは初めてだった。その友人は、その先生の家に一人で３年間下宿していた。「お前の方が、すごいやん！」などと思い出話をしている私たちのテーブルに「鬼」がやって来た。…続く

京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。