9月1日.秋の始まり.2学期の始まり.9月1日は防災の日で,今月は防災月間.そしてまた,9月21日は世界アルツハイマーデーで,今月は世界アルツハイマー月間でもあり,令和5年6月14日に成立した認知症基本法(共生社会の実現を推進するための認知症基本法)では「認知症の日は九月二十一日とし、認知症月間は同月一日から同月三十日までとする」と第九条に定められました.
認知症基本法が定められたことを,ご存じですか?
法第一条を読み法の目的を一言で表すと「認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう」に定められたものと言えますし,また,第一条の終わりには「もって認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(以下「共生社会」という。)の実現を推進することを目的とする。」と記されているので,この法律は『認知症基本法』と略されますが,正式名称にもあるように共生社会の実現を目指して作られたものと言えます.
私は今は主に成年後見制度の利用者さん支援で,認知症の方にお会いする機会が多いです.また,成年後見制度や,虐待防止など,権利擁護に関する話題で,介護等施設従事者の方とお話をする機会も多いです.介護保険制度を使ったサービスでは,サービスを提供する側とサービスを利用する側にはっきりと分かれるため,今現在認知症にはなっていなくて,介護や支援を行う側の立場でいると,世の中は「認知症の人か,そうでない人か」「要介護者か,支援する側か」とはっきりと分かれているような錯覚に陥ります.たしかに,言葉による区分だけでいうと,ある人について「Aか,Aではないか」「Aか,Bか」という分け方はできるのですが,社会生活を見渡してみると,その分け方は生活のごく一部の側面を切り取った分け方なのではないかと思います.
何が言いたいかというと….私たちの生活は個人個人の中でつながり,また,人と人の間でも繋がり,役割はいろんな形で持ちつ持たれつの関係になっています.実際のところ,介護が必要な人であっても,支援されているばかりではなく,その人の影響は私たちの暮らしに影響を与えているでしょうし,認知症だと診断された方は,認知症と診断されていない方と分けられるものではなく,同じ地域社会で暮らす他の様々な人と,その存在は変わらないものであるわけですね.
もちろん,病気によって,または,年とともに,暮らしの中で難しいことや,困難なことが出てくることはありますが,だからと言って,尊厳と呼ばれるものが消えてしまうことはないですし,自分の生き方を決める権限を失ってしまうわけでもないはずです.「共生社会」を目指している法律ですが,それは私たちそれぞれにとって,当たり前に大切なものであるのだと思います.
今日から9月.世界アルツハイマーデーの21日には,日本各地で,建物がオレンジ色にライトアップされると思います.「あれ?どうして今日は,お城がオレンジ色になっているんだろう?」と周りの人に聞かれたら,世界アルツハイマーデーで認知症啓発カラーのオレンジにライトアップされていると,お伝えください.そして,暖かいオレンジ色に包まれた各地の名所をお楽しみください.
同時に,防災月間であることも忘れずに.ご近所の,お一人暮らしの高齢者や,デイサービスのお迎えがよく来ているあのお宅,そのほか色々,『洪水になったら?地震がきたら?逃げられるんだろうか?備えているんだろうか?』と,気になることはないでしょうか.そして,まず,ご自身の「備え」は進んでいるでしょうか.
老後の備えと,災害への備えをするのに,早すぎることはありません.
さぁ,まだ手を付けていない方は,9月をあなたの「備え月間」として取り組んでいただきたいです!進めていきましょう!