放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書問題。文書は捏造されたのかとか高市さんが辞任するのか(本人は大臣辞任だけでなく議員辞職と言ったので、議員も辞めるべきでしょう)ばかり注目されますが、2014年から2015年に総理補佐官が総務官僚を恫喝して解釈変更を迫ったとする文書の内容やその影響による送業界の萎縮こそ重大な問題だと感じています。まずこちらの記事に経緯と問題点がまとめられています。「この事件が抱える本質的な問題は、一介の首相補佐官が安倍首相にゴマをすろうとした浅慮で「報道の自由」を侵しかねない事態をいともたやすく既成事実化してしまったことにある」「国民の知る権利にも関わる重大な問題と受け止めなければならない」としています。
なぜ「捏造」と主張したのか…立憲議員が暴露した「総務省文書」に対し、高市早苗氏が判断を間違えたワケ 総務官僚は「変なヤクザに絡まれたって話」と訴えたが… https://t.co/GjtKSICGBb
— PRESIDENT Online / プレジデントオンライン (@Pre_Online) March 25, 2023
続いてこちらの記事。「放送法4条の改正を企図する安倍氏は、その先に安保法制や憲法改正が念頭にあり、政権の意向に従わせるテレビ報道をさせたいという考えがあった」とあります。
「山田真紀子氏は別の幹部らと官邸に呼ばれた。安倍氏の最側近が『放送法4条を変えたいと思っている』と語気鋭く話し始めた。安倍総理の意向だとも言っていた。山田氏らが抵抗する姿勢を見せると『もうこれから出世はないぞ』『どうなるかわかっているだろうな』と激怒した」https://t.co/LAV3zCjcv3
— akwillakwill (@akwillakwill) March 26, 2023
テレビが総務省の支配下にあることは望ましいことではない。だが現実には、政府介入に慎重な姿勢を示したのが総務官僚で、今回の追及に声明の一つも出さなかったのがテレビ界だ。言論の自由を役人が守り、メディア人が傍観するとう奇怪な絵が出現した。それほどに骨を抜かれたテレビ人たち。
— 青木 俊 新作「逃げる女」(小学館)発売中 (@AokiTonko) March 22, 2023
そんな中、古賀茂明さんが「ゴールデンラジオ」の中で語る昨今の官僚と大手メディア事情は必聴です。テレビを守ったのが官僚で、メディアは傍観という青木さんの指摘、何故そうなったのか理由がわかります。
(続き)古賀さんによると、「政府の言うことを疑う」というジャーナリズムとして当然の原則を「偏った考え」という記者に調査を促すと、政府の担当者のところへ行って政府の話を確認するという。そして「特に問題ないようです」。もうここまでレベルが落ちている。最近の呆けた報道にも納得できます。
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) March 25, 2023
【上から押さえつけられて下の人が書きたい事を書けないという状態はもう過去の話で、内実はもう一段階病状が進んでいた】
そのようです。忸怩たる思いで政権に従ったのは昔の話。今の若手は何の抵抗もなく、政府追従がデフォルトです。だから葛藤がない。楽しく隷従できる。https://t.co/DT1MiWy3LR
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) March 26, 2023
キー局とは無縁ながら放送の仕事に携わる一人として、若手放送人が権力に従順で弱者に驚くほど冷淡なのは、近年私も実感します。既に現場を離れた元放送人は仕事熱心な後輩たちのそうした内心の変化に殆ど気づいておらず、世代間ギャップがある様に見えます。今、地方局ですら圧力なんてなくても自ら進んで権力の意向に沿った放送をしようとします(関西特有の事情もありそうです)。
古賀さんと言えば「I am not 安倍」発言で「報ステ」を降板して話題になりました。「古賀は万死に値する」とメールした中村格前警察庁長官は、伊藤詩織さんへの性暴行事件で逮捕状執行を取消して警察庁長官に栄転、安倍氏銃撃事件で引責辞任し、日本生命への天下りが報じられた人です。
「『報道ステーション』のオンエア中ですよ(苦笑)…番組幹部の携帯電話に官邸から抗議のショートメールが入っていた。発信元は菅義偉官房長官(当時)の秘書官を務めていた中村格さんでした。メールには『古賀は万死に値する』とあったと聞きました」
〈放送法と官邸圧力〉 https://t.co/RlUdEEWFSU
— 南野 森(MINAMINO Shigeru) (@sspmi) March 24, 2023
なぜ「ちゃんと仕事をや」らないか? 権力による弾圧が怖いからではなく上司が怖いから。そしてその上司とは政権のことで、そう考えるとメディアは「上司の言うことに忠実に従う」という形で「ちゃんと仕事をや」ってるとも言える。ただしそれはプレスではなくファシズム。https://t.co/POuRsathgF
— C.R.A.C. (@cractyo) March 25, 2023
たぶん「圧力に屈」しているのではなく、自分たちはエスタブリッシュメントであり自民党政権の仲間だと思ってるはずです。カネのためにしかたなくではなく、積極的に自民に擦り寄っているのです。 https://t.co/lHppV5gEKV
— C.R.A.C. (@cractyo) March 26, 2023
同じく報ステのレギュラーだった中島岳志さんのコメントが興味深い。
とかく暴走はボスの意思への忖度先回りから始まります。現場に近い下部に往くほど忖度先回りはモンスター化します。
本来昔の【目安箱】に当たる役割がマスメディアには求められるはずです。真実史実飛び越え改竄や意図的シカトは宣伝チラシみたいなもんです。https://t.co/3MIghDqm1Y— 太田益次 (@nEfmTiFkcdSOZ3k) March 25, 2023
2015年度の報道ステーションが、官邸と自民党から圧力を受けながら、安保法制や立憲主義について毅然とした姿勢を保てたのは、当時のスタッフの皆さんの努力と共に、古舘伊知郎さんの存在が大きかったと思います。https://t.co/j9uPBsfCwK
— 中島岳志 (@nakajima1975) March 25, 2023
この時、隣に座りながら、古館さんの迫真の実況を聞いたことを、私は一生忘れないと思います。「今、一番重要な現場は、国会前のデモの様子だ」と瞬時に判断し、身を乗り出してモニターを凝視しながら実況をしている姿を、私は鳥肌を立てながら隣で見ていました。生放送の凄みを感じました。
— 中島岳志 (@nakajima1975) March 25, 2023
「僕たちの発言は官邸などでファイリングされているんだろうな、とは思いましたが、これで発言を自主規制しているようでは、言論人として失格です。特に官邸や自民党が警戒していた報ステのコメンテーターを引き受けている以上、僕が萎縮してはいけないと強く思っていました」https://t.co/frCtisfMJy
— 福地慶太郎 (@kei_fukuchi) March 25, 2023
今思い出したのは、放送法ではないけど、私大で講演を頼まれ「楽しいチャップリンについて話してください。ヒトラーと闘ったとか政治的話題は政権から助成金止められるので」と言われたことはあった。もちろん講演は断った。現場は萎縮してましたね。摂南大学ってとこですが。https://t.co/aQg14hw6w9
— 大野裕之@新著『教養としてのチャップリン』 (@ono_hiroyuki) March 25, 2023
2016年3月に古館さんは降板し、今の報ステが骨抜きになったのは見ていて明らかですが、当時の気骨あるスタッフはパージされたと古賀さんが上にもリンクした放送の中で語っています。やはりこの頃がターニングポイントだったのでしょう。
官僚もジャーナリズムも官邸に忖度するようになって権力と戦うのが少数派になってると。新聞に持ってっても上司の官僚に持っていかれてネタ取りの材料にされてしまったと。報道ステーションでも骨のあるスタッフはみんなパージされちゃったみたいな話を古賀茂明がしている#ゴールデンラジオ
— k0418 (@0418kkk) March 24, 2023
【介入されてるテレビが他人事で一番困って大きな被害を受けるのは我々国民の一般庶民】【メディアが情けない終わってるでは到底済まない】
こういう危機感を、多くの国民が持つ必要があると思います。戦争中のメディアがそうだったでしょう。彼らは国民の側にはいなかった。https://t.co/ZzVzmnrXra
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) March 23, 2023
戦史研究家の山崎さんが指摘する様に戦争中もメディアは国民の側にいなかった、その反省をしたはずのメディアが同じことを繰り返そうとしています。それはまた改めて。(モモ母)