あっという間に8月も後半。もう秋がすぐそこに。秋と言えば、台風のシーズン、長雨のシーズン。ここ数年の豪雨は甚大な災害を引き起こしていますし、もうすでに今年は東北や北海道、北陸に豪雨の爪痕が残っています。備えを進めていきましょう。
さて、私事ですが、この度、「誰一人取り残さない防災のための、当事者力アセスメントの進め方」という本を出版しました。萌書房から出版していただき、わたし著、同志社大学社会学部教授の立木茂雄先生の監修で、iBOSAIブックレットシリーズの2冊目です。
このブックレット自体は、福祉専門職向けの防災対応力向上研修で使用したり、単体で読んでもらったり、いずれにしても「へー、難しくないんだな、一つずつ備えを進めることが大切だな」と思ってもらえるように作りました。日ごろの生活は主に自力で暮らせていても、非常事態で非日常の時には人の手助けが必要になる方は大勢いらっしゃると思います。そもそも、非常事態ではどんなに元気で健康な人でも、いろんな面で周囲の人と協力して対応することは大切です。このブックレットでは、主に福祉や医療の支援が必要な方の、災害時の個別避難計画を作成することを目標に説明を展開していますが、その知識は、誰にでも役立つものです。「誰一人取り残さない」ための取り組みなので、私たちみんなが知っておくと良いことを書いています。ブックレットを手に取っていただいた方が、行動の一歩目、二歩目を進めるために必要な知識と気持ちを持ってもらえると良いな~と思いますし、周囲の方の備えを気にしてくれたら良いなぁ~、と思っています。
タイトルの「当事者力アセスメント」とは、その方(当事者)が、災害に備えて、または災害から身を守るために必要な力(知識や行動力や準備)を、どのように持たれているか、どれぐらい発揮できているか、を意味します。アセスメントをし、自分でできることを進める事とともに、自分一人ではできないことをどうするかを考えるための下準備です。
また、今まで大災害が起こったことを考えることを避けていたり、考えても仕方ないとあきらめていたり、開き直っていたりしていた時期が続いていたかもしれません。しかし、これからは「誰一人取り残さず、みんなで生き延びよう!」と、みんなが思うように働きかけるコツを紹介しています。要は「私は、あなたに生きてほしい!」という思いを伝えましょう、ということですが、いざ向き合うと、なかなかストレートに言葉に出すのが難しい方のために、伝えるべきことを書いています。
そのほかにも、備えておくべき物品や、逃げるときの履物(洪水の中で長靴はダメ!運動靴で行こう!)や、マイ・タイムライン(長雨や台風時の時系列の行動計画)のことを書いています。このコラムでも、これまで少しずつ書いてきたことです。
100%完璧な備えはないと思います。でも、0%よりも1%でも備えができている方が、いざという時には差がでます。1%よりも2%、・・・より備えをすすめると、より安心や実際の安全が増えるでしょう。命そのものを守るためにも、備えは大切です。命あってこそ、ですから。そして、備えは、生きて生活をするためにも必要です。少しでも、不便や不足の少ない生活を送ることは、発災以降も復興までの大切なことです。
暑い夏はまだまだ続きそう。災害級の暑さです。コロナの広がりも、災害級だと言われているのを耳にします。気象災害は、日本のあちこちに、今年の夏も豪雨によって引き起こされています。自然の力はとてつもなく強力ですが、私たち人間社会は特技の「協力」で、誰一人取り残さずに難を乗り越えていきたいものです。