カナリア朗読劇場~日本国憲法第26条

カナリア朗読劇場「日本国憲法」第2シリーズ3回目は第三章 国民の権利及び義務から第26条です。第26条は教育を受ける権利と受けさせる義務について書かれています。戦前の大日本帝国憲法には、こうした条文はありませんでした。子供を労働力と考え、勉強よりも家の仕事を手伝わせることを優先した親も多く、女の子には必要以上の教育を受けさせなくて良いと考える家庭もありました。世界には今でも勉強がしたいのに出来ない環境におかれた子供がたくさんいます。朗読はフリーアナウンサーの塩見祐子さん、イラストはかしわぎまきこさん、解説は大阪公立大学高等教育研究開発センター教授の西垣順子さん、動画の再生時間は44秒です。引き続き第19条・第21条はこちら、第19条・第23条はこちら、第24条はこちら、関西勤労者教育協会副会長・中田進さん解説による第1シリーズはこちらからご覧ください。

《第26条解説

教育を受ける権利の平等を定めた条文で、国や自治体の教育環境整備義務を定めているとも言えます。無償教育の提供などがなければ、私たちが平等に教育を受けることはできないからです。なお第1項に、「能力に応じて」とありますが、これは「個々人の能力の必要性に応じて」という意味です。生まれ持った能力が高くない人にこそ、手厚い教育が必要なこともあります。
この条文には、教育の目的が明示されていないことが重要です。学ぶ権利は個々人のものなのですから、当然です。しかし実は、自民党の「改憲五項目」では(岸田首相は「教育の充実」という言葉を使います)、「国の未来を拓くこと」という教育の目標が書き込まれています。つまり、教育は個々人の成長発達のためではなく、国家のためにあるとされてしまっていて、問題があると思います。「憲法に教育の目的を書かないこと」は、目立たないけれども重要なことです。

※次回は9月1日(木)に第11条 第12条 第97条を公開予定です。


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