こころ野便り~農業について思う。これから その12

暑い盛り畔を覆う雑草の生育の速さには、辟易する。畔の草刈りは夏の重労働の一つ大切な仕事ではあるが、収益を伴うものではない。綺麗に刈り込まれた畔は、水田の景色の一部となり、その景観は、日本の原風景として一見の価値が有る。しかし、この作業が、重労働でありながら収益にはつながらず、労働生産性が悪い為手間の掛からない除草剤の使用が増えている。私の母の幼少期には、これらを集めて牛の餌にしていたという。雑草も天の恵みと言うわけだ。今なら児童労働で罰則の対象になりかねないが、そんなことで景観と良好な自然環境が保たれていた一面もある。野菜作りに雑草が利用できないだろうか。色々と思案している。単に堆肥化して有機物の供給ということ以上に雑草の逞しい生命力にあやかれるかもしれない。実は、一度トライしたことがある。その時は、結果的に雑草の種を畑中にばら撒いてしまった。発酵温度が足りず草の種を殺すことが出来なかったからだ。発酵温度をかなり高くしかも均一にしなくてはいけない。技術的な難しさもあるし、他にも様々考慮しなければならないこともあるが、景観や自然環境の保全や乏しい国内資源の余すことなく利用するという観点からも「一手間」かけることを考えてみたい。またそれを評価する文化の醸成も必要だろう。

京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら


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