4月も2週間たつと入社入学セレモニー時期も過ぎ、日常が定着してくる頃かと思います。私事ですが、この4月から大学院生になりました。そして、大学で非常勤講師として1科目教えることになりました。ほかにもいろいろ、新たなチャレンジの1年です。
大学院に入学し、入学式翌日にキャンパスを歩くと、若い学生さんから会釈されました。どう考えても、先生だと勘違いされているようです。大学院では親子ほど年齢が離れた院生さんがほとんどですが、温かくいろんなことを教えてくださいます。特に、私が若かりし頃、学生だった時代には、インターネットで履修届を提出するなどというシステムはなかったのですが、今の時代にはほぼあらゆる手続きをネット上のシステムを通じて行っています。正直なところ、研究以前にオンラインで行う履修手続きのハードルの高いこと!そんな時にも、若い先輩は優しいのです。「今の若者は、なんて親切で、教えるのが上手なんだ」と感心することばかりです。
一方、非常勤講師として学生の前に立つと、学生さんの多くは後ろの方の席から座りますが、それでも授業中は熱心に話を聞いてくれます。(自分の若かりし学生時代を思い出すと、私の授業を受けていた態度には反省しかありません。)特に大学2年生3年生は、コロナ禍でオンライン授業が導入され、集合授業の経験が少ない学年です。この春からは集合形態で実施されている大学が多いと思いますが、学生にとってはやっと大学らしい授業や友達付き合いが始まる方も多いのだと思います。学生生活を楽しみながら、多くを経験し学び豊かに過ごしてもらいたいと思いますし、私も1科目ですが学生さんの学びに貢献したいものです。
大学では「社会保障論」を教えています。まだ始まったばかりで、詳細はこれから学んでいくのですが、おそらく学生さんには「社会保障」とはなじみのない言葉だと思います。学生さんだけでなく、福祉に携わらない多くの方にとっても、日常にあまりなじむことはない言葉かもしれません。健康で何の不安もない間には、社会保障制度は遠い存在に感じますし、場合によっては「病院に行かないのに保険料とか払いたくない」「年金を払ってても将来もらえないでしょ?払いたくない」と思う気持ちが湧くこともあります。しかし、これは私も今回学びなおして感じていることですが、社会保障という制度の成り立ちは、これまでの長い間の人々の苦労や犠牲があり今の制度につながっていて、パッと見ただけの損得で判断するのは難しく、少なくとも「社会保障」制度から今の日本に住む私たちはいろんな安心や安全を受けているものです。しかし、それらは完璧なものでもありません。これからの未来のために、それらの制度がどうあるべきなのかを考える必要もあります。
4月の初めは、まだ授業の導入時期ですが、学生さんからは様々な質問疑問のメッセージを頂きました。実務をしていると「あたりまえ」「そういうもの」でやり過ごしている制度の在り方も、フレッシュな学生さんの目からみると「どうして?」と映るようで、中には『どう説明したものか・・・』と悩む疑問もあります。
ソーシャルワーカーにとって社会保障制度を使いこなす知識は、仕事の質と支援内容に直結する話ですが、それ以前に、社会を構成する一人ひとりとして、社会保障制度の意味やあり方を考え、これからの安心して暮らせる社会を考えるために大切な社会保障制度の理解。私も知識を最新にし、わかりやすく説明をすることで、人材育成にも、日々の実務にも活かしていけるよう努めたいと気を引き締める今日この頃です。