「競技スポーツ化される学びと育ち」と題して3回の記事を書きましたが、本日は番外編です。子ども向けの競技スポーツの世界で、興味深い変化がいくつかみられます。
柔道の小学生の全国大会が中止になりました。勝利至上主義に支配された大人たちの目に余る行動への懸念が原因とのことです。
”溝口さんは「実力が開花する時期は人それぞれ。幼少期の大会は一握りの『強者』を選ぶ一方で、その他大勢の芽を摘んでいた側面があった」と指摘。”勝利至上主義に荒療治 小学生の柔道全国大会廃止(産経新聞)#Yahooニュースhttps://t.co/eKXBY3rYoO
— Ukachi05524587 (@Ukachi05524587) April 3, 2022
このニュースをきっかけに、為末大さんが書いたTweetが話題になっています。若年層での全国大会は、実施しない方が良い理由が詳しく書かれています(「twetterで会話をすべて読む」をクリックすると全文が読めます)。
全柔連が小学生の全国大会を廃止するという決定をしました。私は素晴らしい決断だと思います。なぜ若年層での全国大会を行わない方がいいのか三つの理由で説明します。
①そのスポーツが弱くなるから
②全ての子供がスポーツを楽しめないから
③競技を超えた学びが得られないから— Dai Tamesue 爲末大 (@daijapan) March 18, 2022
高校野球のあり方の議論にも波及しているようです。熱中症警報が出るような中で夏の試合を行うことや、ピッチャーが連投を強いられて身体を壊す危険など、以前から指摘されています。2022年春大会でも怪我をしている投手が、それでもさらに投げるというシーンがありましたが、海外からは「児童虐待」と言われかねないとの指摘もあります。
“まともに走れない投手”が激投の高校野球…“小学年代の全国大会廃止”の柔道に何を思う? 14年前、センバツ優勝した監督の後悔「選手の能力を潰していた」(氏原英明)#高校野球 #kokoyakyu #甲子園 #センバツ #近江 #山田陽翔 #柔道 #全国大会廃止 https://t.co/I7ZnfvjS2a
— Number編集部 (@numberweb) April 4, 2022
少し異なる観点ですが、バレーボールの益子直美さんが始めた「監督が怒ってはいけないバレー大会」というものもあります。
【益子直美氏(上)】 監督が怒ってはいけないバレー大会
監督が怒ってはいけない――。そんなユニークなルールを掲げる #バレーボール 大会がある。主宰するのは、元バレーボール女子日本代表で、現在はスポーツキャスターをはじめ幅広い活動をしている #益子直美 さん。https://t.co/4wThNNmKXi
— 教育新聞 (@kyoiku_shimbun) July 5, 2021
指導者からハラスメントのような「指導」を受け続けた、ご自身の体験もベースになっています。
全国の指導者はこれを見てほしい。
バレーボール大山加奈が苦しむ"後遺症"の過酷 益子直美さんと考える「バレー界を変える方法」 | スポーツ – 東洋経済オンライン https://t.co/popl2EL0Xe #東洋経済オンライン @Toyokeizaiから
— Dai Tamesue 爲末大 (@daijapan) September 3, 2020
スポーツをする意義を考えると、健康増進のため、仲間との絆を深めるため、心身の成長のためなど、とても大事な事柄が並ぶと思います。他方で、行き過ぎた勝利至上主義とそれに基づく指導や生活は、スポーツをする人の心身の健康を損ねてしまいます。本末転倒です。だからこそ、少なくない選手や関係者が今、声を挙げたり新しい実践を始めたりしているのだと思います。
スポーツ以外の学びも同じだと思います。「テストで高い点数をとること」を至上の目的にしてしまうと、学びの本来の目的が失われてしまい、子どもたちも先生たちも不幸になります。
3年めのコロナ禍の中、入学式の時期を迎えました。子どもたちが学ぶのは何のためか、その本来の目的について落ち着いて考えたいと思います。
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