競技スポーツの世界にも変化ー「競技スポーツ化される学びと育ち」番外編

「競技スポーツ化される学びと育ち」と題して3回の記事を書きましたが、本日は番外編です。子ども向けの競技スポーツの世界で、興味深い変化がいくつかみられます。
柔道の小学生の全国大会が中止になりました。勝利至上主義に支配された大人たちの目に余る行動への懸念が原因とのことです。


このニュースをきっかけに、為末大さんが書いたTweetが話題になっています。若年層での全国大会は、実施しない方が良い理由が詳しく書かれています(「twetterで会話をすべて読む」をクリックすると全文が読めます)。


高校野球のあり方の議論にも波及しているようです。熱中症警報が出るような中で夏の試合を行うことや、ピッチャーが連投を強いられて身体を壊す危険など、以前から指摘されています。2022年春大会でも怪我をしている投手が、それでもさらに投げるというシーンがありましたが、海外からは「児童虐待」と言われかねないとの指摘もあります。


少し異なる観点ですが、バレーボールの益子直美さんが始めた「監督が怒ってはいけないバレー大会」というものもあります。


指導者からハラスメントのような「指導」を受け続けた、ご自身の体験もベースになっています。


スポーツをする意義を考えると、健康増進のため、仲間との絆を深めるため、心身の成長のためなど、とても大事な事柄が並ぶと思います。他方で、行き過ぎた勝利至上主義とそれに基づく指導や生活は、スポーツをする人の心身の健康を損ねてしまいます。本末転倒です。だからこそ、少なくない選手や関係者が今、声を挙げたり新しい実践を始めたりしているのだと思います。
スポーツ以外の学びも同じだと思います。「テストで高い点数をとること」を至上の目的にしてしまうと、学びの本来の目的が失われてしまい、子どもたちも先生たちも不幸になります。
3年めのコロナ禍の中、入学式の時期を迎えました。子どもたちが学ぶのは何のためか、その本来の目的について落ち着いて考えたいと思います。
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西垣順子<大阪公立大学 高等教育研究開発センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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