始まりのときだから、人生の最期を想像してみる

新年おめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、そろそろお正月気分も抜けてきて、2022年が本格的に動き出したように感じます。感染症の拡大が心配ではありますが、毎日を心地よく過ごせるといいですね。

新年早々、なんてことを!と思う方もいるかもしれませんが、節目のタイミングだからこそ、いろんなことを振り返ったり、いろんなことを予定したりすることができます。自然の中では、ただ一日の時間が定期的に長くなったり身近くなったり、それに合わせて気温が上がり下がりして、植物などが花を咲かせ葉を落とすだけなのですが、人間は自然に合わせてカレンダーをつくり、記念日をつくり、節目節目を感じながら過ごしてきました。そう思うと、しみじみと、過去に生きてきた人たちの長年積み重ねられた工夫や苦労が思い起こされ、感動します。

というわけで、新年は大きな節目です。

昨今、「人生会議」という言葉があちこちで取り上げられ、聞くようにもなりました。厚生労働省のWebサイトによると、「人生会議とは、もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組みのことです」と説明されています。つまり、人生の最期が迫ってきているような状況になったとき、どのように過ごし、どのように生きたいかを考え、いろんな関係者にも伝え、話し合うことです。

終活という言葉もよく聞かれるようになりましたが、どちらも、人生の終わりのために備えるものですが、人生会議が意味するところは、その時に自分を取り巻く人々との繋がりやその人たちに臨むことへ重点を置いているという感じでしょうか。

私は成年後見人等をしています。このお正月、大みそかから3が日にかけては、私の仕事用携帯が緊急の連絡を伝えることはなく、静かに過ごしました。しかし、4日になり各事業者が動き出したころから、いろんなお知らせがもたらされました。中には救急搬送されて、急遽入院手続きに走ったケースもありました。

成年後見人等は、専門職の場合、家族と違って医療同意をすることができません。それは、最近では病院側もよくご存じです。なので、一応病状の説明や今後の治療の説明をしてもらうのですが、その際に医療同意が求められるような話になったら、「権限はありませんが」と前置きしつつ、ご本人が日頃望まれていたことや、口にされていた要望などを医療関係者に伝えるようにしています。

一日でも永く生きたいのに、いい年だからと、看取りに移ってしまうのは、本人にとっては悔しいことでしょう。

最後は痛みや苦痛を押さえて、でも、自然と過ごしたいと思っていた人に、延命措置を行うのは、本人にとっては辛いことになるでしょう。

どちらの意思もアリだと思います。年齢も、病状も、その他人間を構成するものは関係なく、一人ひとりが自由に生き方を望むべきだと思います。だからこそ、その意思を確認し、共有し、どうしたいか話し合うことが大切です。

私が担当している入院された利用者さんは、以前から何度も、人生の生き切り方を話しておられました。私や、ケアマネジャーや、医療職らが、繰り返して同じ質問をしても、同じように答えられました。ですので、私はその言葉を、病院に伝えました。病院の先生や看護師さんも理解を示してくださいました。

最期の希望は伝えましたが、でも、またお元気に回復されて退院し、日常に戻れることを祈るばかりです。

最期まで自分らしく生き切ることを考えるのは、忙しい毎日の中では埋もれて後回しになってしまいそうです。でも、大切な事。人生の節目節目に立ち止まって考えてみるのが良いのではないでしょうか。

 

最近気に入っている、木のタペストリーです。クリスマスにはクリスマスの飾りを、お正月にはお正月の飾りを。なんか不思議な飾りつけになりましたが、部屋の中が明るくなりました。今年も一年よい年になりますように。

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兵庫県在住。「福祉×ICTで、毎日を安心安全に、心豊かに。あなたに寄り添う相談援助」をモットーに『森のすず社会福祉士事務所』開業。成年後見等による高齢者・障害者支援、認知症の方と家族の支援ならびに防災と福祉の地域啓発活動、スクールソーシャルワーカー、各種研修講師などの活動に取り組んでいる。2022年から同志社大学社会学研究科の後期課程博士課程院生。カレーと豆好き。犬大好き。社会福祉士、公認心理師、防災士。介護支援専門員。第1種大型自動車免許、2級FP技能士、第2級アマチュア無線技士。