はいせつよもやま話~リフトがなかなか普及しません

使ってみると快適なのに、おむつや杖を嫌がる人が少なくありません。同じ様にリフトもすごく便利なのに抵抗がある人が多いようです。リフトは「スリングシート」という体を覆うシートで要介護者を吊り上げるもの。人が手で持ち上げようとすると、どうしても指先に力が入って痛かったり、辛いことがあります。抱え上げる行為はケアする人の腰を痛めるだけでなく、ケアされる人も怖くて痛い思いをしていて、肋骨や坐骨にヒビが入ることもあります。ギュッと強い力で抱えられて圧迫され、ドスンと座らされるので、骨にヒビが入る事例が多数報告されているのです。広い面で吊り上げるリフトを使うのは、ケアする人の体を守るだけでなく、ケアされる側の人の体も守ることがわかっています。
でも、リフトって介護保険で本体をレンタルできるのに、なかなか普及しません。お風呂はデイサービスで入るとされていますが、自宅の浴室にリフトをつければ、家でとっても簡単に毎日でもお風呂に入れるようになります。何よりベッドから車椅子に移乗するのが楽になります。移動することで生活空間が広がるのに、ケアする人が大変だから、ベッドで寝かせきりになっていることがよくあります。たとえ家の中でも寝室からリビングに行く、時にはトイレに行く、玄関に行くなど、移動することで人は暮らしているといっても過言ではありません。

「高齢生活研究所」所長 浜田きよ子さんの排泄や福祉用具にまつわる話を、毎月紹介しています。前回はこちら。排泄に関する相談は排泄用具の情報館「むつき庵」まで。


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